シュヴァルの理想宮 1879年フランス人フェルディナン・シュヴァルの夢見た建物と悲しい物語




  仕事の為にも、趣味の為にも今年こそは絵画教室に通おうと決意したアルバトロデザイン代表 猪飼です。 かなり昔から絵は描いていたのですが、仕事でこれから本格的に使うことになりそうなのでリハビリも兼ねてちゃんと基礎から教わろう!と思ったのです。 どんなデザインもベースになるスケッチがうまくなるのに越したことはないですし、構図の考え方等グラフィックデザインに直結する部分も多いので。 という訳で、今年は絵画研修期間としてちょっと時間的に厳しいですががんばりたいと思います! さて、そんな中本日はフランスの裏名所として有名なシュヴァルの理想宮についてです。 プロではない人によるセルフビルドの一種で、まだ訪問したことは無いのですがとても興味深く、いつかは絶対に訪問してみたい建築の1つです。 

1.シュヴァルの理想宮

1800年代、フランスの小さな村 Hauterivesでフェルディナン・シュヴァルは郵便配達の仕事を続ける傍ら、趣味で自分の理想とする建物を建築します。 きっかけとなったのはたまたま転んだときに見つけた小さな石でした。 小石の偶然できた面白い形に感動したシュヴァルは小石を毎日集め、「自然が小石という美しい彫刻を恵んでくれるのだから、私はその石を使って建築家になろう」と決意します。 小石を集めて建物を建てだした郵便配達夫シュヴァルを、村の人は不思議そうに見守りました。 当時40歳で小石に魅了されたシュヴァルを、パラノイア病(偏執病)であったという人もいます。 村の人に疎まれながらも、33年間続けた小石収集と、その小石による建造は最終的に巨大な建造物を生み出しました。 それが、現在でも多くの人に感動を与える「シュヴァルの理想宮」です。

壁面にはフランス語で、「この岩を造ることによって、私は意志がなにをなしうるかを示そうと思った。」と刻まれています。 また、この建物は当初愛娘であるアリスの為に建築したそうです(アリスは若くして脳膜炎で死亡してしまいました)。 そんな家族にも恵まれていたシュヴァルとは、どのような人物だったのでしょうか。

2.フェルディナン・シュヴァルという人物

1836年、フェルディナン・シュヴァルはフランスの小さな村、シャルムで生まれました。 父親が3度も結婚した複雑な過程で生まれ育ちましたが、成長してからはパン職人として働きました。 その後同じ村の旅館の娘と結婚したシュヴァルは1860年頃突如として行方不明になります。 これについては原因は不明で諸説あるそうですが、1864年に長男が誕生し、シュヴァルも無事家へと戻ります。

しかしフランスの国自体が不安定で貧困であった当時、長男は翌年1865年に死亡してしまいます。 しかし翌年には次男シリルが誕生し、無事成長します。 そんな中、郵便配達がフランス全土に普及しだしたのをきっかけに、郵便配達員の募集を見つけたシュヴァルは応募し、15キロ離れた村の郵便配達員として合格します。 パン職人よりも安定した収入を得たシュヴァル一家でしたが、1873年に妻が病気で死んでしまいます。

その後、郵便配達員として何度かの転勤の末1878年にようやく自分の故郷の村に戻ります。 この年、シュヴァル同様パートナーと死別した未亡人のマリと再婚をします。 1879年には愛娘アリスが誕生し、アリスを溺愛したシュヴァルは配達中につまづいた小石に魅了されたのをきっかけに、アリスの為に小石でできた建物を建築することを決意します。これが、「シュヴァルの理想宮」の始まりです。 当時シュヴァルは40歳の時でした。

幸せに満ちていたシュヴァルの家庭も長くは続かず、最愛の娘アリスを脳膜炎で失ってしまいます。 しかしアリスを失っても、シュヴァルの小石の家の建築は辞めませんでした。 1896年、29年間勤務した郵便配達員を退職してからは、シュヴァルは小石の建物の建築にさらに没頭しました。 生まれつき体の丈夫だったシュヴァルは、悲しい現実の中でシュヴァルの理想宮の建築だけが逃げ場になっていたのかもしれません。 シュヴァルの理想宮はこの頃からかなり巨大化し、地方新聞や雑誌で度々紹介されることで少しずつ有名になってきたそうです。

その後1912年息子のシリルも結核で死去し、2年後の1914年には妻のマリも病死してしまいます。 シュヴァルは自分も、妻マリもこのシュヴァルの理想宮の中に埋葬しようと計画していましたが、村の人々や教会の強い反対により断念しました。 これをきっかけに、シュヴァルは理想宮の建築をストップし、村の外れの墓地に自分の一家の為に墓を建築する事にします。 この作業は1924年の夏、彼が死ぬまで続いたそうです。

 France: Palais Ideal

La Drôme en vidéo – Le palais idéal du facteur Cheval

Palais idéal

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3 Comments

  1. こんにちわ。
    フランスに行ったことがあるのですが、理由は、「シュバルの理想宮」を見にでした。フランス人に爆笑されました。
    この町へのバスが日に二本しかないので、リヨンのYHAを朝5時半前に出たのを覚えています。
    階段登って触れるのにビックリしました。
    もちろん、墓地の方も見に行きました。

  2. IKAI

    >mazzaさん
    こんにちわ。
    かなり辺境の町にあるようで、行くの大変でしたね!
    しかし現物を見たなんて、本当に羨ましいです。
    チェコのクトナーホラに行ったときも、探すのが大変でした。
    海外のレアな目的地を探しに行く旅も楽しいですよね。
    シュバルもいつか現地に行って、墓地もみてみたいです!

  3. What a great rerscoue this text is.

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