365日バックパック旅行に出かけたいと思わない日はないアルバトロデザイン 代表 猪飼です。 バックパック旅行に限らず予定のない旅は大好きですが、実は深夜特急はまだ読んだことがありません。 むしろ最近は読む本はデザインや経営関係の本ばかりで深夜特急から最も遠い場所に来てしまった気もします。 すこし仕事が落ち着いてきたので、近々社内旅行を密かに企画しつつありますが・・・ さて、すこし脱線しましたが本日はそんな深夜特急の原作の表紙にもなっているフランスのモダニズム・キュビズム色の強いデザイナー、カッサンドルに注目してみたいと思います。 イヴ・サン・ローランのYSLを組み合わせたのも、実はカッサンドルによるものです!
1.カッサンドル Adolphe Mouron Cassandre
カッサンドルの本名はアドルフ・ジャン=マリー・ムーロン (Adolphe Jean-Marie Mouron) ととても長い名前で、カッサンドルという名前は実はペン・ネームです。 基本的にはA.M.Cassandreと表記されています。 カッサンドルという名前の由来はギリシャ神話の悲劇的な預言者である「カッサンドラ」からきているそうです。 1901年にウクライナで生まれ、1968年にパリで拳銃自殺をして亡くなるまでにグラフィックだけでなく、絵画、舞台芸術、タイポグラフィ等と数多くの斬新な作品を残したマルチ・デザイナーです。
カッサンドルは元々画家の道を目指し、小遣い稼ぎの為にグラフィック・デザインをはじめました。 始めから「グラフィックやデザインとは、単なるコミュニケーションにすぎず、夢を追うようなものではない。」と自ら割り切って仕事をしていましたが、その「割り切り」が逆に新鮮且つ均衡のとれたデザインを生み出し、グラフィックデザイナー、とりわけポスターデザイナーとしてどんどん有名になっていきます。
本当は画家になりたかったカッサンドルは、グラフィックデザインの道に流されていくと共にバウハウスや、アール・デコ等様々なデザインの考え方に触れ、自らの考え方も改めグラフィックとは芸術には既に失われた公衆との繋がりを再発見する分野である、と考えるようになります。 結果1926年に事務所「アリアンス・グラフィック」を開設し、アメリカへ渡りポスターだけでなく様々なデザインへと手を出すようになります。
やがりパリへ帰国し、過去に何度か結婚も試みるも、すぐに離婚してしまい、常に深く物事を考えてしまうカッサンドルは徐々に抑鬱的になってしまいます。 ふさぎこんだ生活を送るようになり、やがて自殺を試みるようになり、1968年パリでピストル自殺を図り、死去しました。
カッサンドルの作品はポスターだけでなく、タイポグラフィとしても今でも強い人気を誇るビフュール(Bifur、1929年)、アシエ・ノワール(Acier Noir、1935年)、およびペニョ(Peignot、1937年)というタイポグラフィを生み出し、グラフィックと共に現代でも多くのデザイナーに影響を与え続けています。
2.カッサンドルの作品
実に思考的であるカッサンドルは、常に様々なデザイン様式に敏感に影響を受け、うまく距離を保っていました。 カッサンドルの活躍した1910年代から20年代にフランスから発祥した幾何学と曲線によるアール・デコ様式としては最も有名なデザイナーであり、1920年代に最盛したドイツのバウハウスによる合理主義的・機能主義的なデザイン思想に強く影響を受けています。
また、1920年から1930年代にはキュビズムの影響を強く受け、直線的でそぎ落とされたシンプルの中に光るデザインを追求しました。 カッサンドルの作品、とりわけポスターは常に当時のデザインの最先端として何度もグランプリを獲得しました。
rb4
こんにちは。
作品についてはよく見ていましたが、
カッサンドル自身の人柄や生涯についてはあまり気にかけておらず、
今回のこの記事、楽しく拝見させていただきました。
自殺だったのですね。知りませんでした。。
「ポスターのデザイン」と言えば、真っ先に頭に浮かぶのが、
カッサンドルの”NORMANDIE”です。
改めてすばらしい作品がたくさん見れて、
いい刺激をいただきました。
コーラン
デザイン事務所に勤め始めた頃、
社長にカッサンドルの作品を
隅から隅まで見ろと
言われてそれ以降、
何も教えてくれませんでした。
大変楽しい記事でした。
ありがとうございました