Xavi García シャビ・ガルシア 紙幣からコンセプトデザインまで スペイン出身のデザイン学生の実力




 梅雨明けを誰よりも喜ぶアルバトロデザイン代表 猪飼です。 本業はデザインの仕事なのですが、趣味兼仕事で絵も描きます。 絵に関しては今まで独学だったので最近改めて教室に通い、絵の深さにデザイン哲学まで啓蒙されています。 デザインと絵の共通点は多数あり、やはり一番人間の視覚的な感覚に近い絵を描くという動作から配置とバランスのデザインについて学ぶことはとても多く、感心しながら絵を描いています。 なによりも、人から何かを学ぶ時間があるというのは気持ちがいいですね。 そんな感じで学生時代を思い出していたのですが、本日はロンドンの学生の素晴らしい作品を見つけたので紹介したいと思います。 

 1.Xavi García シャビ・ガルシアという学生

学生時代の成長速度というのは、意外とクラスメイトによっても作用されたりするものだと思います。 クラスに実力のある人が多くいれば、負けず嫌いな心がある人はみんな負けじとがんばります。 逆にあまり競争力の無いのんびりとしたクラスの場合、あまり刺激が生まれずみんなあまり焦って負けたくない!という気持ちが刺激されないからです。 勿論、人によってはのびのびとマイペースでやったほうが伸びる人もいますが、なににせよ刺激というのは成長する上でとても大切だと思います。

Xavi García シャビ・ガルシアはまだ無名ですがとても学生とは思えない実力と独創性を持った学生です。 スペイン出身のシャビは、スペインのサラマンカ大学でビジネス学科を卒業後、スイスでマネージメント(経営学)を就学しました。 しかし、ビジネスよりも強い欲求をデザインやアートといったクリエイティブな分野に感じ、スイスの学校を退学することを決意します。 その後ロンドンへ渡り、クリエイティブな分野では全くの未経験であるシャビは現在ロンドン芸術大学のセントラル・セントマーチン校でアート&デザイン学科のファンデーション(大学就学前の1年間の基礎コース)を受けています。

イギリスのアート系大学では、毎回課題が提出され、講義や技術と平行して毎回学期末までにその課題を提出する義務があります。 この課題が成績のほとんどを決定する為、講義や技術でコンセプトや技を磨き、自分の課題に反映させるというシステムになっています。 シャビ・ガルシアも他の生徒と同様にこの課題を提出しているのですが、彼の作品の完成度は大学1年生にして完全に学生の域を超えています。 それでは、アート&グラフィックコース1年生の彼の作品を覗いて観ましょう。

2.課題①:手作りでなにか作りなさい / Handmade

Handmade(手作り)という課題でシャビ・ガルシアはオリジナル・デザインの紙幣を手描きで作りました。 「手作業=デジタルで無いもの」 という発想で、シャビはデジタルではなく、全て手でなにかを作り出した時の労力、手間、そしてハンドメイドである物への価値観を再確認するべくこの課題を行ったといいます。

技法としては、ペンでまず手描きで全てのイラストを描き、さらに手描きで描いた模様をスクリーンプリントで特殊なUVインクを使いプリントし、最後にスタンプでナンバーを打ち込み完成させたそうです。 プロジェクトの所要期限はスタートから3ヶ月の課題でした。

3.課題②:貴方の家族について小冊子を作りなさい / Design a zine about a member of your family.

シャビはタイポグラフィを使って父親についての冊子を作りました。 タイポグラフィを通じて様々な方法で父親について紹介している内容となっています。 デジタルプリントでの印刷なのですが、非常にハンドメイドでレトロな味を出すことに成功しています。 また、冊子内のタイポグラフィもとてもおもしろく、全5冊で各36ページという大作になっています。

4.課題③:ロンドン芸術大学のアート大学優秀者の総合作品展示会があったと想定して広報を作りなさい
/ Create publicity for Xhibit 2010, a uniquely diverse exhibition of the very best emerging talent from Europe’s leading Arts university, UAL, showcasing the next big things in art, sculpture, photography, film, fashion and design.

シャビはこのロンドン芸術大学の仮想展示会について宇宙をモチーフにした広報を作りました。 (ロンドン芸術大学は英語でUniversity of the Arts Londonと書き、宇宙は英語でUniverseと書きます)
天体地図をロンドンの地図に見立て、大きな星をそれぞれの校舎に見立て(ロンドン芸術大学はロンドンじゅうに校舎が散らばっています)、GoogleMapでArt Galleryの場所を調べ、小さな星としてオリジナルのロンドンアートマップ天体地図を作成しました。 シャビはバナー、4種のフライヤー、カタログ、ポスターを制作しました。

5.課題④:猫や財布、犬などを探している張り紙を探し、より目立つようにデザインしてあげてください。
Brief: Find a “lost cat/wallet/dog” poster. Help that person and re-design it to make it more attractive.

ここまでくると、課題の出し方が面白いです。さすがセントマーチンです。 シャビのリデザインしたのは、「バッグを探しています」という構内の張り紙でした。 重要な書類が入ったバッグなので、探しています。 という張り紙を見事にわかりやすく、おもしろく仕上げました。

 

5.シャビ・ガルシアまとめ

大学1年のシャビの作品はまだまだありますが、容量の問題であとは割愛させていただきます。 しかし、大学に入学してたった1年でこれだけの作品を制作し、どれもデザインクオリティ、コンセプト共にすばらしいものです。 私は今は学生ではありませんが、十分見ていて焦ります。

でも、この焦りが大切なんだと思います。 すごい作品を作る人を見て、負けたくない、という刺激が欲しいのです。 特にヨーロッパのデザインは日本に比べて非常にコンセプチュアルで、良いデザインとはスタイリッシュな見た目と、その裏の強いコンセプトが絡み合って強力なデザインとなります。

分かりやすい作品でも、分かりにくい作品でも欧米では他人に見せるとまずしげしげと見つめてから、「コンセプトは?」と必ずといっていいほど聞かれます。 こうした感覚は日本にはそこまでないのですが、デザイナーとして興味深い考え方だと思います。

最後に、ヨーロッパの大学では最終作品も大切ですが「リサーチ内容」も評価対象となります。 どのように作品をリサーチして、どうやって最終作品にアプローチしたのかが安定したクオリティのデザインを生み出し続ける上でとても重要になるからです。 シャビ・カルシアのスケッチブックの内容も最後にすこし覗いて見ましょう。

Xavi García Portfolio Site シャビ・ガルシアのポートフォリオサイト “equisgarcia” (英語)
http://www.equisgarcia.com/

 









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2 Comments

  1. 海に行って夏気分と目の保養を楽しみたいbrfでございます。。。。。
    素敵なデザインや感性豊かな人に出会うとついつい羨ましく思ってしまいますが、今更ながらデザインについて基礎から学ぶ機会をうかがっている状態です。。。

    バイクのカスタムもデザインが重要視されますので、部品ひとつ作るのも試行錯誤しています。。。
    今の時点では、あらゆる分野の良いものを見たり触れたりして自分の中に情報を取り入れている感じです。。。
    そんな感じでこのブログも自分にとってよい勉強になっています。。。

    まとまらない文章になってしまいましたが、そんな感じです。。。ww

  2. IKAI

    >brfさん
    夏は夏らしいことしないといけないですよね!海辺をツーリングなんていいですね!
    バイクのデザインいいですね~昔は毎日のようにバイクをどうカスタムしようか絵に描いていました。いつか家の事務所もバイクのデザインをするような仕事をしてみたいです。その時はbrfさんに製作をお願いしますね!
    デザインはいつもバランスだと思います。白と黒、スペースと物、色と形などのバランスを見るのがデッサンですが、図面の要素と要素のバランスを考えるのがデザインかな、と思っています。
    私も偉そうなことを言えるレベルではないのですが、なにか手助けになれれば!といつも思っています。本当に、人生勉強続きですよね・・・一緒にがんばりましょう。
    私もまとまらない文章になってしまいました・・・笑

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