喉風邪がなかなか治らず、マスク生活を強いられている猪飼です。 大人しくしていればそこまで辛くは無いので大人しく仕事をしています。 昔は趣味で、好きな作家の画集を買ってマネするのが好きでした。 ナウシカの宮崎駿、アキラの大友克洋、鉄コン筋クリートの松本太陽などなど、みんな画集を買ってマネしたものです。 そこで驚いたのが、今回紹介するフランス人作家メビウスことジャン・ジローの作品に誰もが強い影響を受けているという事でした。 ある意味では今の日本の現代コミックの源流となっているかもしれない、メビウスの代表作、アルザックについて書きたいと思います。
1.アルザック Arzach とは
アルザックは、1975年にフランスのコミック雑誌(ベルギーやフランスではストーリー漫画の事をバンド・デシネ=BDと呼んでいます)に突如登場したほとんど会話の無いストーリー漫画です。 この作品は漫画家メビウスこと、ジャン・ジロー氏によるもので、たったの4話しか発表されませんでしたが今でも彼の代表作と言われています。
漫画アルザックの内容としては、荒廃した世界を主人公アルザックがひたすら白い翼竜にまたがって飛び回るという内容で、登場人物はみな寡黙で、終始会話のない内容となっています。 これは当時の漫画界には非常に斬新な手法でした。 BD界の革命とまで呼ばれ、フランス中の漫画家が彼の作品をマネし、その波は日本へも及びました。 言葉や巧みなストーリーすらなくても、独自の世界観と、素晴らしい画力、構図をもってしてコミックは成り立つという事が立証されたのです。
2.アルザックの作者 メビウス = ジャン・ジロー(Jean Giraud) とは
アルザックを描いた漫画家、ジャン・ジロー(Jean Giraud)はいくつかペンネームがあります。 中でもSFやファンタジー系の内容を描く時のペンネームがメビウスという風に、作品によって使い分けています。 他にも、ジル (Gir)というペンネームもありますが、どの名前でもそれなりの人気、地位を築いています。
ジャン・ジローは元々独学で絵を学び、その後ヨーロッパを代表する人気漫画家ジジェに弟子入りをし、その後ジャン・ミシェル・シャルリエと共に、Pilote 誌で『Fort Navajo』の連載を開始しました。 この作品は大変人気を博し、ジローを記念する郵便切手が発行されたほどでした。 その後、ジャン・ジローとジルという名前で様々な原作を手がけました。
1963年になると、SF人気に乗じてメビウス(Moebius)というペンネームでの執筆を開始します。 たった一年の間にメビウス名義で21作も描き上げますが、10年間メビウス名義を封印してしまいます。 しかし1975年、自身も創刊者の一員を勤めるメタル・ユルラン誌で復活します。 その中の一作が、今回紹介したアルザックでした。
3.メビウス = ジャン・ジローとSF映画
ジャン・ジローの画力と、SFデザインのセンス、ストーリーの発想力はコミック界だけでなく、映画界からも注目されます。 このブログでも何度か紹介したフランスのアート・アニメーション監督 ルネ・ラルーの1982年の作品で、ステファン・ウルの原作小説に基づくSFアニメーション映画『時の支配者』 (原題: Les Maîtres du temps) にメビウスとして参加しました。 また、同年のリドリー・スコット監督によるSF映画「ブレードランナー」にもキャラクターの衣装デザインとして参加しています。 ブレードランナーにつきましては、世界が驚愕した画期的な「混沌とした未来社会のイメージ」は、ジローの作品からインスパイアされたものであると監督自身が明かしています。
4.メビウス = ジャン・ジローと日本の漫画家・アニメーター
ジャン・ジローの才能に多大な影響を受けた日本の漫画家・アニメーターは数え切れないほどです。 独自なSFへの感覚や、緻密な描写、圧倒的な世界観は誰がみてもひきこまれてしまいます。 特に宮崎駿は熱烈なファンで、ジャン・ジロー自身も宮崎駿の作品を認めています。 宮崎駿はジャン・ジローから強い影響を受けてナウシカを仕上げたと公言し、ジャン・ジローもナウシカを大変気に入り、娘の名前をナウシカとつけたほどです。 最近では共同で展示をやったりと、二人の仲は継続されています。
AKIRAで世界的漫画家となった大友克洋も、当時作風が似ていると指摘されるたびに本人より「ジャン・ジローの作品に魅了され、強い影響を受けた」と公言しています。 ジャン・ジロー自身も大友を認めており、何度か交流があるといわれています。
5.メビウス = ジャン・ジローの作品
それでは、アズレック以外のものも含め、ジャン・ジロー氏の作品を一挙に紹介します。
den
はじめまして。さすがに1位だけあるブログですね。
当方、京都にてギャラリーを巡り現代アートの作家さんとお話をしながら
好き勝手に書き散らかしております。
メビウスも京都マンガミュージアムで先日見てまいりました。
デビュー当時より大友のファンで、このメビウスを見てなるほどとストンと落ちた感がありました。
当方もなんとかアクセス数が増えないものかと素人なりに考えてはいるのですが、
なにぶん初心者なもので…
よろしかったら覗いてみてくださいませ。
http://den393.blog81.fc2.com/
プライベートブログ「デラシネ気取りの無駄話」もリンクしております。