ベン・ヴォーチェ 皮肉と言葉遊びのフランス人現代アーティスト Benjamin Vautier ( Ben )




 夏バテなのか、著しい体力低下に悩むアルバトロデザイン代表 猪飼です。 本日はフランスから来たインターン生ティボ君の最後の記事で、言葉遊びのアーティスト、ベンジャミン・ヴォーチェについて紹介したいと思います。 日本では「相田みつお」さんが有名ですが、フランスでは国民的アーティストとして人気なのがベン・ヴォーチェなのだそうです。 「ベン」と呼ばれ、フランス中で親しまれているベン・ヴォーチェはマルセル・デュシャンの親友としても有名で、”シニカルで皮肉たっぷりな”アート作品を作るという根本的なアートに対する概念も似ています。 そんな言葉遊びのアーティスト、ベン・ヴォーチェをご紹介します。

Today we are talking about a French artist, Benjamin Vautier, well known as « Ben ». His work is part of the “Ecole de Nice”, which includes other artists as : Arman or César. He was really close with Marcel Duchamp, inventor of the “Ready Made”, and with Yves Klein famous for his blue and monochrome works.

 1.ベン・ヴォーチェの生い立ち
Life of  Ben Vautier

ベン・ヴォーチェは1935年にフランスのパリに生まれ、15歳で南フランスのニースへと移ります。 1950年代にベンは美術評論家ピエール・レスタニ(Pierre Restany)により提唱された芸術運動、ヌーヴォー・レアリスム(Nouveau Réalisme)の考えに出会い、傾倒していきます。 やがて同フランスの代表的アーティストであるマルセル・デュシャンの「レディー・メイド」の考えに賛同し、デュシャンのファンになります。
※ヌーヴォー・レアリスムは「新しい現実主義」という意味で、大量生産品や消費社会の廃棄物からアート作品を作り出すという活動をしていました。

ベン・ヴォーチェはマルセル・デュシャンについてこう語っています。 「デュシャン無しにはモダンアートも、ヌーヴォー・レアリスムもランド・アートもポップアートも、私すらも存在しない。 デュシャンは私の祖父みたいな存在なんだ。 デュシャンはアートに破壊をもたらし、どんな形のアートも可能になってしまった。つまり、どんなアートの形も終わってしまったんだ。だからデュシャン以降、アートにおいて全ての”形”は意味を持たなくてはならなくなってしまった。」

またベン・ヴォーチェはイヴ・クラインともとても親しくしていました。 イヴ・クラインについてベンはこう語っています。 「クレインは偽善者なんかじゃなかった。 だから彼はいつもただ世界でだれより大きく、強大な力を持ちたがる事を隠しはしなかったんだ。 趣味の柔道では日本人に勝てず、政治では大統領に選ばれそうにもなかった。 だから画家として一番を目指したんだ。 画家として、革新的な事をしなくはならなかった。そこでクレインはモノクローム (単色)表現を作ったんだ。」と語っています。

1960年代に入ると、ベンはフルクサス芸術運動(60年代からニューヨークで始まり欧米・日本に広がった前衛芸術運動。新奇的でユーモア・ウィットのある表現が特徴。)に参加します。フルクサス運動はジョーン・ケイジ、ダダ、マルセル・デュシャンの三人の革命的芸術作品に強く影響を受けたアーティスト達による芸術運動でした。
フランスでは、黒い背景に白い文字で書かれた短いメッセージの作品がベンの作品として最も有名です。 いつもメッセージの下にはベンのサインが書かれています。 そしてベンのメッセージの内容はいつも南フランスの古い言い回しで書かれています。現在もベンはフランスのニースで自ら改造したとてもユニークな家の中で暮らしています。

Benjamin Vautier was born in 1935, he spent his early life in Paris and when he was fifteen he arrived to Nice, a city located in the south east of France. In the 1950’ he discovered the Nouveau Réalisme, and he became a fan of Marcel Duchamp and his principle of Ready Made.

Ben said about Marcel Duchamp : “He is my grand-father. Without Duchamp there’s no Ben, no modern art, no Nouveau Réalisme, no Land Art, no Pop Art. Duchamp is the last breakdown in Art. He let us in a jam because after him every shape is possible, so already expired. After Duchamp the shape needs an attitude”.

He was also very close with Yves Klein, he told about him: “Klein was not a hypocrite. He wanted to be the bigger, the stronger in the world. At Judo, he didn’t succeed in beating the Japanese. In politic, he noticed that he can’t become the President of the Republic. Then he decided to be the better in painting, and he understood that he had to innovate radically: he made the monochrome.”

In the 1960’ he joined the Fluxus artists’ movement, this movement created in 1962 is mostly present in Japan, the United States and in Europe. These artists were influenced by John Cage, Dada and Marcel Duchamp, three revolutionary artists.
In France he is mostly known for his short message written in white under a black background, with always his signature: Ben.
He worked a lot to preserve and save the Occitan language, which is a old language that used to be talked in the south of the France.
Currently he is living and working in his house in Nice, which is really famous for its messy atmosphere and its amazing set.

2.ベン・ヴォーチェの作品
Works of Benjamin Vautier

ベンは「世の中で最も大切なものはエゴだ。」と言っているように、ベンの作品は全て彼自身のエゴを作品化したものだと言います。 エゴはいつも芸術家に新しい物を作りたがらせます。 つまり、エゴなしに新しいクリエーションは生まれないからです。 ベンは「だから僕はどんな物にでもサインして、私の物にしてしまう。だがマンツォーニには悔しい思いをさせられた。彼は糞の上に”芸術家の糞”とサインをしたからさ。 」と言っています。

またベンの”メール・アート”という作品も有名です。 例えば、彼は1963年に当時の芸術家達にランダムで”私の真似をしないでくれ! あからさまですよ!”というメールを送っています。

Ben’s art is to appropriate everything, by writing his signature on everything he flatted his ego, and according to him the ego is the most important thing in this world. “Survival = Ego = Creation”. It’s because the ego needs to survive that the artist wants to be different and create. Without ego there is no new. For Ben the art is in the intention: “So I sign: the holes, the mystery boxes, the kicks, God, the chickens… And I will be very jealous of Manzoni who signed the shit, with “Artist’s shit” and stole from me the idea of “human sculpture”.

Ben wants to show his interest in himself to continue to create, by always talking about himself he doesn’t try to be egoist, he only wants to show the real nature of the artist, of any human being.
Ben is also well-known in “Mail Art”. For instance, one of his work: in 1963 he randomly sent some letters to others artists, saying:  “Stop copying me, it’s too obvious!”


Random is everywhere.
全てはランダムである。


Since Duchamp we can put anything in this box.
デュシャンのおかげで、どんなものでもこの箱に入れることが出来るようになった


Since Duchamp we can put anything in this box.
デュシャンのおかげで、どんなものでもこの箱に入れることが出来るようになった


He is me! / Fluxus is for free
「ヤツは俺だ!」 / フレクサス芸術運動は無料です


There are no bad photograph. / Everything is about desire.
悪い写真なんか存在しない。 / 全ては欲望からくる。


What is art?
アートって?


Table of me Ben I sign / I seek the truth
私がサインしたもの表 / 私は真実を追い求める。

3.ベン・ヴォーチェのアトリエ
House of Benjamin Vautier

ベンは1976年にニースに「クネグンダとマラバー」と名づけた家を買います。 ベンは数年かけてその家に混沌とした装飾を行いました。 壁は全てベンの作品や謎の小物で覆い尽くされ、庭には巨大なノーム(西洋おとぎ話に出てくる小人)が立ち、古いトイレやバスタブが植物の鉢として使われています。 また、ドアの向こうには「It’s Bad (こりゃだめだ)」と描かれた文字がサイのオブジェと共に見えます。 バスタブには「1917年、全ての前衛芸術はデュシャンという汚水に浸かった。」と書かれています。 そんな中には妻のアニーの人形コレクション専門の場所も用意されています。

こんな混沌としたベンの家は現在誰でも訪れる事が可能で、運がよければ気さくなベンが話しかけてくれるそうです。

In 1976 Benjamin Vautier bought a house in Nice and called it “Cunégonde and Malabar” after his children. Other the year it became a chaotic set of found object. The walls are covered with many objects, and with Ben’s works. We can meet a giant gnome standing in the garden, or see old toilets and bidets used as plant containers. Over the door we can see the words “It’s Bad” with a Rhinoceros-head watching the garden. There’s a bathtub which says “Since 1917, all the avant-garde is bathing in the dirty bath water of Duchamp.” A space is dedicated to the doll collection of his wife Annie. You can visit this house, and if you are lucky talk with Ben, he seems always up to talk with visitors.

Ben’s website: www.ben-vautier.com
“Cunégonde & Malabar” address : Ben Vautier, 103 route de St Pancrace, Nice 06100, France.

Benjamin Vautier ( Ben ) vu par Albert Chubac. Film Raoul Robecchi ( 2001).
ベンのドキュメンタリー(フランス語です)

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2 Comments

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