もう夏になったと思いきややっぱりちょっと寒いですね。皆さん初めましてインターン生の山田です。今回紹介させていただくのは人体の構造を機械の構造になぞらえた斬新な解剖図を遺したFlitz Kahnです。彼の描くイラスト今でもクリスティーナ・アギレラのCDジャケットを手がけたD*Faceなどにも多大な影響を与えています。

1.フリッツ・カーンという人物

フリッツカーン (Fritz・Kahn)はベルリンの婦人科医と世界的に有名な科学作家でした。

フリッツは1888年ドイツのハレという町で医師である父と作家である母との間に生まれました。その後ベルリンで婦人科医として営業を始めます。1920年に発表した全5巻からなる『(The Life of Man)』は、ドイツで生まれた傑作として世界的に名声を得ました。ユダヤ系ドイツ人である彼の著書は1930年代にナチス政権により禁書として焼却処分され、後に出版社が編集を加えて、再版されたそうです。残念ながらFritz Kahn に関する資料は少なく、婦人科医であり作家であることはわかっているのですがその人物像は不明な点が多いそうです。しかし医師であった事からその観察された人体をモチーフにしたデッサンは彼の医学的知識と多くを語っています。また彼はナチス政権からの逃亡の際アルバート・アインシュタインによる個人援助を受けた事もあるそうです。

2.シュールレアリズムと空想性の中の真実

Fritz Kahnの描く解剖図は解剖図といっても医学的に見たものではなく、人体の構造と機械の構造に例え極めてシュールレアリズム的空想性の高いものに描いており、その空想性の中から人体のメカニズムの真実も内包されているようです。Flitz Kahnの描く世界はまるで医学書とアートの中間をみているようです。医学大国ドイツとしては、つい最近まで話題になったドイツの解剖学者グンター・フォン・ハーゲンスによる「人体の不思議展」も日本でも話題になった事も記憶に新しいですね。

脳の中でも会社のようにしくみがあり、社長が部下に命令を下し、体の色んな所に指示を促しているのでしょう。体を駆け巡る神経はその社長からの命令を伝える電話線のようなものでしょうか?私たちが怪我をしたら、すぐに血小板が傷を直そうとする様子は、優秀な会社のクレーム対応のようですね!このように近代的な文化を思わせる様子をイラストに取り入れている事から、当時の機械文明到来の現象を反映しているように思えます。機械文明と独裁政権に支配される21世紀を描いた資本主義と共産主義のダブル批判とも見えるフリッツ・ラングの名作「メトロポリス」が1927年制作であるのも意味深い所です。

人体の構造をまるで、工場の内部や会社の組織のように描き、小さな人間が何人も体の中で働いています。実際に私たちの体の中でも、食べ物を口にしたら、体の中のあらゆる器官が一生懸命働いてくれて食物の消化を出来ているからこうして毎日生活できるのでしょう。Friytz Kahnは人体の構造を機械のしくみに比喩したものが多いですが、婦人科医であった事も有り女性の体をモチーフにしたものをたくさん描いています。

昔から現在に至るまで人の体の構造へ興味や人間の体の内部がいかなるものか、怖いものみたさにも似た興味の現れをたくさんのイラストに遺しています。

これは『消化機能の建築』というタイトルの作品です。「動物や植物を育てる者は、別々のスタイルをした様々な建物から出来た様々な素材で一つの建物を作る建築家と同じ問題に直面する。まずは、建物(食物)を粉々にしなければならない。」という食物連鎖のを表現しています。Fritz Kahnはこのように、単純な人体のメカニズムだけでなく、人間に関係する社会的関係性などもイラストで表現しています。

3.まとめ

今回私山田は初めてのブログ書かせていただきましたが皆さん楽しんでいただけましたでしょうか?ここで紹介したFlitz Kahn の作品もほんの一部です。一部グロテスクで見辛いものもありますが、Flitz Kahn の作品は見れば見る程他の作品も見たくなるような気にさせます。彼の作品はただ医学的な説明にとどまらず、その独特な世界観はアーティストやイラストレーターにも影響を与えました。今回紹介したFlitz Kahn のように斬新な解剖図ばかりを紹介しているDream Anatomy というwebsiteがあります。もしこれをきっかけに解剖図に興味をもたれた方はそちらも是非のぞいてみてくださいね。

Fritz Kahnに影響を受けたChristina Aguiletaのアルバムアート