週に一度のお絵かき教室に命を懸けるアルバトロデザイン代表 猪飼です。 かなり絵を描くということに生活が慣れてきて、とてもよい趣味が見つかって嬉しい限りです。 さて本日はそろそろ公開の借りぐらしのアリエッティの制作会社ジブリとも実に縁の深い日本の画家、井上直久の仮想世界イバラードについてです。 「耳をすませば」のバロンが住む世界としても有名なイバラードですが、本日はイバラードの風景、設定、仮想世界という表現について掘り下げてみたいと思います。 蒸す日本の夏を飛び出して、イバラードの世界に気持ちだけでも旅立ってゆっくりしたいです。

 1.イバラード Ibalard とは

画家井上直久が作り出した仮想世界が「イバラード」です。 しかしそこには細かくも柔軟な設定や、キャラクター、そして独特な色彩が広がり、ただの空想世界では収まらないほどの魅力を放っています。 イバラードの世界は現実社会と微妙にリンクしており、その関係を井上直久は「思い出せない遠い日のかけら。きっとこれから来るなつかしい日々。」と表現しています。

イバラードの世界には魔法が存在しますが、現実の世界のように公共機関や交通機関が存在します。 カラフルで色彩豊かな植物が世界中に存在し、多くの建物は植物に覆われています。 空には飛行船(飛行船は植物から生えるそうです)や、ラピュタという空に浮かぶ島が多数存在してます。

イバラードの世界はいつも美しく、どこか哀愁が漂っています。 これは井上直久が過ごした幼少期の思い出と強くリンクしていると思われ、とても平和で観ていて心が和むのに、どこかもの哀しい雰囲気を絶妙に作り上げています。

因みにこのイバラードという名前は井上直久の事実上の故郷である大阪府茨木市からきているそうです。 イバラードの西の国はスイテリアという国(モデルは吹田市)があり、東にはタカツングという国(モデルは高槻市)に接しています。

2.広がるイバラードの世界とスタジオジブリ

井上直久の提唱する仮想世界イバラードは元々井上自身の絵によって表現されてきました。 画家であり、イラストレーター兼漫画家であった井上は、美大を卒業後大阪府立春日丘高等学校に美術教諭として19年間勤務をしていました。 教員として勤務する傍ら、昔の思い出を素に異郷「イバラード」をテーマに多くの作品を制作し、個展、画集を発売しました。

「イバラード」の世界は井上の絵を通して多くの作家達に影響を与え、日本中から強い支持を集めました。 井上の表現する独特の哀愁と美の共存した世界は日本を代表するアニメーションスタジオであるスタジオジブリの目にも留まりました。

1995年にスタジオジブリから公開されたアニメ映画「耳をすませば」(近藤喜文監督)における挿話「バロンのくれた物語」という話で井上は背景画の制作を依頼されます。 イバラードの世界のままでよいということで、イバラードの世界を背景として描き上げ、イバラードの世界は「耳をすませば」の公開と共に一躍有名になります。

また、その後に作られたジブリアニメ「猫の恩返し」にもイバラードの世界が引き継がれ、ジブリと井上直久の関係は確固たるものとなります。 これを機に、三鷹の森美術館の壁にはイバラードの世界が大々的に描かれたり、ジブリもオリジナルアニメとして「星を買った日」というアニメをイバラードの世界を舞台に制作しています。

また井上自身も「イバラード時間」というDVDを制作し、スタジオジブリから発売しています。 これはアニメにおける「背景」だけを収録したキャラクターやストーリー不在の異色なDVDであり、井上直久の作品を一部動かした「動く絵」とも言える仕上がりとなっています。

イバラード時間
http://disney-studio.jp/ghibli/special/iblard/

イバラード時間 [HD] (1 of 3)

イバラード時間 [HD] (2 of 3)

イバラード時間 [HD] (3 of 3)

DVDイバラード時間

CD「イバラード博物誌」/イバラード (音楽)
井上直久氏の描く「イバラード」の世界をイメージしたサウンド集。幻想的で透明感のある世界観を音楽で。

3.イバラードの世界と井上直久の作品

井上直久の作品

1981 画集「イバラード」
1983 絵本「イバラードの旅」講談社絵本新人賞
1985 コミックス「イバラード物語」青心社
1994 画集「イバラード博物誌」架空社
1995 映画「耳をすませば」
(スタジオジブリ作品 監督近藤喜文)の幻想シーン『バロンのくれた物語』の美術制作
1997 画集「空の庭、星の海 イバラード博物誌第II集」架空社
1999 画集「ジパングの岸辺 イバラード博物誌第III集」架空社
2001 中学国語1 – 3年教科書表紙装画 教育出版
2001 画集「世界はあなたのコレクション」架空社
2001 三鷹の森ジブリ美術館メインホール壁画制作
2003 画集「ここが、その街 イバラード博物誌第IV集」架空社
2004 中学美術教科書1年に作品「エアシップの木」と解説文掲載 日本文教出版
2005 中学国語教科書に「まだ言葉にならないものを描く」執筆
2005 短編映画「星をかった日」(スタジオジブリ作品 監督宮崎駿)に原作提供と美術制作
2006 絵本「星をかった日」架空社
2007 DVD・BD「イバラード時間」(スタジオジブリ作品)監督
2008 画集「水わく丘 イバラード博物誌第V集」架空社
イバラードの公式販売書籍

イバラードの旅 (講談社、1983年) ISBN 4-06-127299-3 絵本、講談社絵本新人賞受賞
イバラード博物誌 (架空社、1994年) ISBN 4-906268-58-7
イバラード物語 ラピュタのある風景 (青心社、1995年) ISBN 4-906268-58-7 漫画
空の庭、星の海 イバラード博物誌 2 (架空社、1997年)ISBN 9784877522001
ジパングの岸辺 イバラード博物誌 3 (架空社、1999年)ISBN 4-87752-120-8
ここが、その街 イバラード博物誌 4 (架空社、2003年)ISBN 4-87752-205-0
星をかった日 (架空社、2006年)ISBN 4-87752-139-9
水わく丘 イバラード博物誌 5 (架空社、2008年)ISBN 4-87752-208-5

4.イバラードの世界まとめ

イバラードや、「耳をすませば」の魅力は「もう帰らない故郷のあの頃」だと私は思います。 あの頃はすごく楽しかった。自然が綺麗で、みんなやさしくて、なにもかもキラキラしてて楽しかった。 そう思って故郷へ帰ると、すごく落ち着くし安心するのだけど、どこかなにかが違う。 昔観ていたものと今は違くなってしまっている。 そのギャップの部分こそが「もう帰らない故郷のあの頃」の魅力なのだと思います。

実際、人間の目に見えたものや覚えているものは全て人の「気持ち」が入ってしまうので美化されたり、また逆であったり。 でもその「気持ち」は悪いものではなくて、生きるうえで人生をきっと楽しくしてくれるものなんだ、と思います。

耳をすませば カントリーロード

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