気温の安定しない季節の変わり目に翻弄されるアルバトロデザイン代表 猪飼です。 こう暖かかったり、寒かったりと不安定な気候が続くと衣替えのタイミングが掴めませんね。 さて、本日は現在展示会が現在開催中(2010.3.6-2010.5.9)のタマラ・ド・レンピッカについてです。 実はまだ展示には行っていないのですが、予習と言うことで本日はご紹介します。 展示をすでに見た方は復習にご覧くださいね! 

1.レンピッカ 激動の歴史

レンピッカの歴史はとても興味深いです。 正に、激動の人生を送った美女と言えます。 レンピッカは1898年にロシアでポーランド系の大富豪の家に生まれ(ワルシャワという説もありますが)、お金持ちの子らしく高飛車な子供として育ちました。 ものの15歳で恋した弁護士の男性へ叔父のコネでなんとか近づき、やがて金と人脈を使って1916年にはその弁護士の男性となんとか結婚します。

しかし結婚してすぐ1918年にはロシア革命に巻き込まれ、夫は逮捕されてしまいます。 レンピッカは刑務所を探し回り、家系のコネを利用してなんとか釈放してもらい、夫婦でヨーロッパを転々とした末パリの街に逃れます。  当時第一次世界大戦に勝利したフランスの首都パリは、裕福で活気に満ち、多くの芸術やファッション、デザインが交差する世界で最も活気的な文化都市でした。 1925年には装飾美術展覧会が開かれ、様々な分野の交差で新しい優美なスタイルである「アール・デコ」が生まれた時期です。

こうした背景の中、自分達の持ってきた宝石や貴重品を売りさばいてなんとか生計を立てていたレンピッカはパリの優美な社交界の中でもてはやされる「アート」の世界への憧れを感じ、芸術家として生計を立てようと決意をしました。 芸術家アンドレ・ロートにネオ・キュビズムを学び、そこからレンピッカ独自の画風を確立していきました。 天性の才能があったレンピッカはみるみる上達し、その美しい美貌も手伝い、一躍パリの肖像画家として有名人となりました。

セレブな社交会が大好きなレンピッカは、娘を母親へ預け、夫も子も構わず世界中を飛び回りながら社交会を転々と優雅な生活をしていました。 実母や娘から憎まれる中、ピカソやジャン・コクトーとも知り合いとなり、本物の名のある芸術家となった彼女は、両性愛者であることを名乗り、当時トップの文豪や歌手と男女構わず浅い交際を続けました。

絶頂期を迎えたレンピッカはやがて夫と離婚し、1933年、より位の高い「男爵」の男性と再婚します。 夫の男爵という立場をさらに利用して、制作活動を続けたレンピッカは再びアメリカを中心に世界的に人気がでます。 アメリカへ活動拠点を移したレンピッカはハリウッドでの人気を勝ち得て、自らの画風もすこしずつ変えていきましたが、第二次世界大戦の終結する頃にはレンピッカ人気にも陰りが出始め、アーティストとしてのレンピッカ人気は急速に衰えてしまいました。 プライドの強いレンピッカは画家引退宣言をして、画家としての前線から退くことを決めました。 その後、夫である男爵の死後レンピッカは大々的な船での世界一周旅行を3度も行い、老いをもろともせずに自由に生きました。

レンピッカはパリでナチの占領下にあった娘を助け出した事により、無責任で自由奔放な母親として憎まれていた娘キゼットとも連絡を取り合うようになり、後期はわがままなレンピッカの生活の世話やマネージャーを兼任しました。 わがままで支配的なレンピッカに家族ごと振り回され、ついたり離れたりの関係を繰り返していましたが、キゼットの夫を癌で失ってからはレンピッカが永眠するまで付き添い暮らしたそうです。

2.レンピッカの作品

パリで一躍人気を博したレンピッカの画風は、それまでのパリで主流だった抽象画とはかなり異なるものでした。 キュビズムの影響を受けつつも、派手な色合いで美しく、大胆な構図で描くレンピッカの絵はどこか優美で美しく、官能的でパリ市民から人気がありました。 独自性の強かったレンピッカの絵はたちまち高値がつき、肖像画1枚でも200万以上で仕事を受けていたそうです。

芸術の都パリで受け入れられたレンピッカはアメリカへ移り、後期へ移るにつれて徐々にシュルレアリスム的な要素も取り入れていきました。 人気が絶頂期を過ぎ、プロの画家としての引退を表明するもレンピッカは絵を描くことは辞めませんでした。 第二次世界大戦以降の自分の絵の評価の下落が耐えられなかったプライドの高いレンピッカでしたが、やがて70年代に入ると再評価されるようになり、レンピッカの独自的なファッショナブルでスタイリッシュな芸術は確固たる物となりました。

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