最近日本でも人気が出てきているスーパーリアルシリコン彫刻作品を作るアーティスト、ロン・ミュエク。 昔、サーチギャラリーで初めてその作品を見たときはなんだこれは!? と驚いたほど、実にリアルな作品を作る彫刻作品です。 日本でも金沢21世紀美術館で展示が行われ、世界の期待する気鋭の彫刻アーティストについて本日は書きたいと思います。 

1.ロン・ミュエク Ron Mueck

オーストラリア出身のロン・ミュエクは、元々児童向けテレビの大道具のような仕事をしていました。 児童用の番組で使う人形モデルなどを作るうちに、よりリアルなものを作りたいと思い、ロンドンで会社を立ち上げます。 新しい会社ではリアルなモデリングをすることができたものの、撮影用であったり、幼稚園などの動く模型であったりと、一体ずつに時間をかけて最高にリアルなものを作るという事とはやはりすこし違うと判断し、より完璧な彫刻の制作を仕事とは別に個人的に進めます。

ムン・ミュエックの個人的に作った小さな彫刻は異様なまでにリアルで、フィギュアというよりもそのリアルさだけでアート作品の領域でした。 幸い親戚に芸術家であるポーラ・レゴ(ポルトガル出身の画家)がいたため、彼女の力を借りてロンの作品をチャールズ・サーチ(イギリスにあるサーチギャラリーのオーナー)に見せてもらいます。 サーチ氏はロン・ミュエクの作ったいままでにないほどリアルな彫刻作品を大変気に入り、すぐに作品を買い取りました。 そしてもっと作品を作るようにロン・ミュエクに委嘱し、ロン・ミュエクはいよいよ本格的に完璧にリアルな彫刻作品の制作にかかります。

1996年、アート作品としてロン・ミュエクがまず作った作品がデッド・ダッド(Dead Dad=死んだ父)でした。 ロン・ミュエクは自分の父親の死体を2/3スケールで恐ろしくリアルに造形し、肌にはシリコンを使用して質感も人間の肌と見分けがつかないようにしました。 髪の毛には自分の髪を使用し、肌の色にはアクリル絵具を使うなど、様々な素材を使って最高にリアルな作品が出来上がりました。

サーチ氏はこれをすぐに自身のサーチ・ギャラリーに大々的に展示し、ロン・ミュエクの違和感を覚えるほどリアルな彫刻は一躍世界的に有名になりました。

2.ロン・ミュエクの作品

ではなぜロン・ミュエクの作る彫刻はこんなにもリアルなのでしょうか。 それはロン・ミュエクの天才的な造形の腕もありますが、素材に秘密があります。 ロン・ミュエクは他の彫刻家同様、まず粘土をこねて造形をします。 そしてその粘土作品を型に使い、グラスファイバーを混ぜた特性のシリコンを流し込み、固めます。 これはいままでの彫刻作品には使われなかった手法で、ロン・ミュエクの作品が世界に広がると共に彫刻の世界に革命が起きたともいわれています。

ロン・ミュエクはこうしたシリコン素材等との融合や、様々な材質で異様なまでにリアルな出来の彫刻を作るため、いままでの彫刻と線を引く為ハイパーリアリズム彫刻家と呼ばれています。

   

 “Big Man” (2000) Sculpture by Ron Mueck

 

Ron Mueck: The most realistic sculptures Part I
ロン・ミュエク : 今最もリアルな彫刻 1

Ron Mueck: The most realistic sculptures Part II
ロン・ミュエク : 今最もリアルな彫刻 2

Ron Mueck: The most realistic sculptures Part III
ロン・ミュエク : 今最もリアルな彫刻 3

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