トーベ・ヤンソン 北欧のヘルシンキが生んだムーミンの母




なんとか咳と喉以外は回復したアルバトロ代表 猪飼です。 身体的にどうしても喉だけは引きずる傾向にある体質であるのはさておき、子供の頃は好きな本があると、同じ作家やシリーズのものばかり買い続けてしまう次期がありました。 そんななかの1つがトーベ・ヤンソン作のムーミンシ谷リーズです。 のちの有名なアニメ「楽しいムーミン一家」のモデルとなった本ですが、森の近くに住む人達の北欧的な独特の生活観がすごく素朴で魅力的でもあり、ある意味不気味でもありました。 そんな不思議なファンタジー感をいっそう引き立てているのが、作者トーベ・ヤンソンのイラストでした。
 

 

1.トーベ・ヤンソンの歴史

1914年にフィンランドのヘルシンキで生まれたトーベ・ヤンソンは、彫刻家の父親、画家の母親の元に長女として生まれました。 両親はいつもお互いの作品づくりに没頭していて、作品ができるたびにまだ幼かったトーベ・ヤンソンに意見を聞くような、素敵な家庭で育ったそうです。 トーベの母親は本へ興味をもたせる為に部屋中の本にトーベが好きそうな絵を描いたブックカバーをつけてあげたそうです。
やがて自然とトーベ・ヤンソンは芸術家を目指して両親の出た芸術大学へと進学します。 まだ若かったトーベ・ヤンソンは政治系の風刺画を雑誌に投稿し、見事採用されます。 中には戦争時代にヒトラーを皮肉った絵を雑誌の表紙として描いた事もあるそうです。画家としても、小説家としても、絵本作家、イラストレーター等様々な分野で活躍し、小説ムーミンシリーズの執筆により世界的に有名となりました。
また、ヤンソンはトゥーリッキ・ピエティラというグラフィックデザイナーの女友達と生涯にかけて一緒に作品を作っており、ムーミンシリーズも彼女との合作です。 また、ムーミンに出てくるトゥーティッキーというキャラクターは彼女がモデルとなっています。

2.ムーミンシリーズのモデル クルーブ・ハル島

トーベ・ヤンソンの家族は夏になるといつも小島で過ごしました。 中でもトーベが気に入ったのがクルーブ・ハル島という島で、歩いてもたった8分で一周できてしまうような小島でした。 そこにトーベ・ヤンソンの家族は自分達でワンルームの小屋を建ててアトリエにしました。 1965年に島に上陸して以来、30年間夏になるとボートでこの小島に通ってムーミンの物語を執筆したそうです。

その小屋には電気も水道もなく、今のように携帯電話も無いので連絡も取れない場所でしたが、トーベ・ヤンソンにとってそこは最高のアトリエだったのかもしれません。 トーベ・ヤンソンの弟や、親友のトゥーリッキ・ピエティラも度々トーベと一緒にボートでその島へ訪れました。

3.ムーミン・シリーズ 小説とコミック

1945年、トーベ・ヤンソンは終戦とともにムーミンシリーズの執筆にかかりました。その後の26年間の間に、小説9作と、イギリスの新聞紙の為にムーミンのコミックを描き、ムーミン以外にも小説や絵画などの作品を多数残しました。 ムーミンのコミックはトーベ・ヤンソン自身が6年間執筆し、残りの15年は弟のラルスへ引き継ぎました。

ムーミンシリーズの内容としては、いわゆる他のファンタジー小説に比べ、かなり自然と文明の距離がリアルに書かれています。 自然の元で暮らし、自然と共に生活しつつも自然に怯える様がイラストとマッチしていて、北欧ならではの独特な世界観が魅力的です。

人間関係(登場人物は人間でない場合が多いですが)についても、アニメのように陽気な世界ではなく、むしろ厳しい世界です。 登場人物同士の喧嘩や罵り合いも多く、実に人間的でリアルな動きをします。 また、そうした人物達と自然との関係によって、哲学的な内容であったりもします。

そんなムーミンの世界を視覚的に演出しているのが、トーベ・ヤンソン自身による緻密な挿絵です。 原画を美術展で見たことがありますが、とても細かく、繊細な線の中に、的確な登場人物達の表情を描いています。

個人的にムーミンシリーズの小説で昔から一番好きなのは最後に出版された1970年の『ムーミン谷の十一月』です。 ムーミン一家の住む建物へ旅に出ていたスナフキンや、ムーミンの知り合い、関係の無い身寄りのない者達が集まってくるのですが、彼らを温かく迎えるはずのムーミン一家は船旅に出ていて家にいません(最後までほとんど登場すらしません)。 ムーミン達の帰りを待って、よそ者達がムーミンの家で共同生活を始めるという話ですが、それぞれの人間性がリアルに描かれていて、意識の共有ができない人物達に悲しくなったり、切ない気持ちにさせられる一冊です。

3.ムーミン・シリーズのアニメ化

1969年、国際的に人気のあったムーミンを日本で初のアニメ化されました。 しかしトーベ・ヤンソンはこの作品をみて、ムーミンのキャラクター設定や顔つきなどがだいぶ脚色されていることに怒りました。 日本のアニメ側は、日本国内でのみの放送ということで話をつけ、結局そのまま放送しました。

1990年になって、日本で改めて「楽しいムーミン一家」としてアニメ化することとなり、今回はトーベ・ヤンソン自身も制作に参加することで、原作に近い設定でのアニメーションが完成しました。 ヤンソンもこれには満足し、母国フィンランドでも繰り返し放送され、世界的ムーミンブームのきっかけとなりました。

ムーミンのキャラクター版権は今でもヤンソンの一家が保有しており、行き過ぎた商業化を回避する為にディズニーとの契約は断っているそうです。 (一部wikipediaより)

初代ムーミンのアニメシリーズ 「ノンノンの願い」

ヤンソンも制作に加わった 楽しいムーミン一家シリーズ 「オープニング」









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3 Comments

  1. こんにちは。
    実は私もムーミン好きです。笑
    でもあまり詳しくはなかったので、この記事を読んで勉強になりました。
    トーベ・ヤンソンさんの描く原画を見た時は、その芸術性の高さから
    「イラスト」というよりもひとつの「絵画」としての印象を受けました。
    私のお気に入りは、『Moomin, Mymble and Little My』という、絵本です。

    (前の記事へのコメントですみませんが、ひとつひとつゆっくり読ませていただいています(^^))

  2. いつも書き込みありがとうございます!
    ムーミン、いいですよね笑 僕も昔から大好きな世界のひとつです。
    うちのブログはまだまだ過疎なのでrb4さんのコメントがとてもうれしいです!

    creative lifeも毎日楽しみに読ませてもらっていますので、これからも末永く宜しくお願いしますねっ!

    アルバトロデザイン 猪飼

  3. モリスベア

    今、フィンランドに来ています。
    昨日は、Tampere市まて、トーベヤンソンさんのげんがを見に行って来ましたが、素晴らしい色彩に感動しました。
    彼女の生き方が、フィンランド人の考え方に、リアル感動です。

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