苦境を楽しむ戦う男のデザイン事務所、アルバトロデザイン代表 猪飼です。 今年度は前向きに生きようと陰ながらに挨拶文もポジティブにしていこうと思っています。 そんなアルバトロデザインの事務所ですが、古い家具が好きなため、古臭すぎずになんとかかっこいい事務所にできないものかと試行錯誤をしています。 その為立ち上げの際は部屋の壁で一番悩みました。 どんなにいい家具やラグがあっても、壁がよくないとどうしても空間が締まらないものです。 特に日本の備え付けの壁紙はどれも似たような無難な物が多く、古い家具にはなかなか似合わないですよね。 そんな中人気なのがダマスク模様の壁紙です。 家の事務所は結局壁紙は使わなかったのですが、本日は古いヨーロッパの壁紙によく使われる、ダマスク模様についてご紹介したいと思います。 

1.ダマスク模様とは ダマスク模様の歴史

名前はあまり知られていないものの、パターンをみると「ああ、ヨーロッパのアンティークっぽいやつだ。」と思う方も多いかもしれません。 複雑な模様のよくアンティークな部屋の壁紙で使われるパターンです。 このダマスク模様ですが、そもそも一体どういうテキスタイルなのでしょうか。 その歴史の根源は意外にも中国にありました。

まず、ダマスク模様の根源は絨毯(じゅうたん)やラグのようなマットにあります。 複雑な織り方で生地に模様を浮かび出させるダマスク柄マットは、中国の紋織りから発祥しました。この紋織り(もんおり)は「錦の技法」と呼ばれる特殊な技法で複雑な模様の生地を製作する事が可能で、こうした織物は当時は高額で取引される宝のような扱いを受けました。

12世紀頃になると、この紋織りの織物はシリアにある世界最古の都市ダマスカスへと伝わります。  ダマスカスの人々はこの紋織りに感動し、技術を取得して大量に複製品を作りました。 この技術にどんどん独自性が加わったものがやがてダマスクスを代表する模様、ダマスク模様と呼ばれるようになりました。

因みにこのダマスカスという都市は歴史がとても古いため様々な言語によって別の呼ばれ方をされています。 ダマスカス以外にもダマスクス、ディマシュク、シャーム、ダマスコ、ダマスキ等と様々です。 そのうちの「ダマスクス」がヨーロッパでダマスクと呼ばれる語源となりました。

余談ですが、このダマスカスの模様(つまりダマスク模様)を比喩して、細かいうねるような模様のでる刃物をダマスカス、またそういった模様がでる刃物の材料をダマスカス鋼等とも呼びます。


現在のダマスカスの町の様子

2.ダマスク模様はヨーロッパへ

中国から発祥して中東で感動を与えた紋織りはダマスカスでさらにアレンジされ、だいぶ経ってからヨーロッパへとたどり着きます。 美しい模様はヨーロッパ人の心をも魅了しました。 ダマスカス模様は貴族から一般家庭へと浸透し、いわゆるアンティークと呼ばれる時代の花形となります。 当時丁度壁紙という技術が家庭に浸透していたヨーロッパでは、こぞってこのダマスク模様を壁紙としてプリントしたようです。

そのころ時代は既に国際化し、ヨーロッパの風景は日本でも映画や雑誌で入ってきます。 この時、非常に印象的だったのがダマスク模様の壁紙で、日本人にはダマスク模様といえば、ヨーロッパの物と言うイメージが浸透しました。 丁度地球を一周したかのようなイメージの連鎖はちょっと興味深いですね。

では最後に様々なダマスク模様を画像でご紹介いたします。

 

3.意外と気軽に作れるダマスク模様

ダマスク模様はよくみると植物をモチーフにして作られた細かい模様で、日本の家紋のようにある程度の法則を保っています。 こうした法則を万華鏡のように同角度で繰り返し組み合わせることで、意外と簡単に作ることができます。 こうした繰り返しをDINGと呼び、ヨーロッパでは DAMASK DINGsというダマスク模様を作る要素のようなスタンプがあります。 現在ではフリーでフォントがよく出回っているので、 Damask Dingsを使って、マイ・ダマスク・パターンを作ってみるのも面白いですね!