ついに仕事に圧迫され、更新できない日ができてしまいました。 毎日更新をモットーにしていたのに、大変申し訳ない気持ちでいっぱいのアルバトロデザイン代表 猪飼です。 終わることの無い仕事の話はさておき、本日は英国が生んだ天才映像作家、クリス・カニンガムの世界についてです。 クリス・カニンガムはかなり有名な映像作家(Film Director)なのですが、その天才的映像制作の才能があるのに、なかなか人目に出しにくいある意味エグい世界観の作品ばかりを制作しています。 こうしたギリギリなきもち悪さを追及すること自身、彼らしさなのかもしれません。

1.クリス・カニンガムとは

1970年にイングランドに生まれたクリス・カニンガムはわずか16歳で映像業界に携わります。 映画「ヘルレイザー」のSFXデザインへの参加を皮切りに、17歳でエイリアン3の制作に参加、キューブリックに見初められて共に映画「AI」の特殊効果にも参加しています。 その後は独立し、かの有名なエイフェックス・ツインのPV「Windowlicker (1998)」を制作したことで世界的な知名度を確立します。

ちなみにこの「Windowlicker」のPVは、ヒップホップ系のミュージックビデオに「ありがちなPV」をパロディ化し(アクセサリーや服装、ロールスロイスに派手なセクシーダンサー等)、そこにどんどんカオス化していく様を描いているかなり気持ちの悪い作品です。 初めて見たときは、正直これはいいのか、悪いのかすらも考えられない衝撃がありました。

マドンナや、レディオヘッド等のPVを制作し、世界的天才映像作家としての地位を不動のものにしたとたん、ビョークの「All is full of love」を最後に突然のミュージックビデオ界から引退宣言をします。

2.クリス・カニンガムの映像のおもしろさ

自他共に認める天才映像作家クリス・カニンガムですが、いったい彼の作品というのはどうしてこうも心にまとわりつくのでしょうか。 基本的にストーリー性は強くなく、演出力や表現力が彼の映像の特徴です。 時にその独特のなんともいえない気持ち悪い感覚が強すぎて、どんな音楽だったかすら忘れてしまうほどの世界観です。

この強烈な世界観はどの作品も人間の「気になってしまう要素」をうまく使っている気がします。 例えば、顔の崩れた人間だったり、奇形の人間だったり、妙にリアルで機械的な人間だったり・・・
「人間」をひとつの軸に、常識からハズれた人間を登場させ、その違和感をうまく利用して世界観を確立しているようにも思えます。

どれも気持ち悪い、後味の悪い作品です。 だけれど、何故かどうしても最後まで観てしまう・・・ これがクリス・カニンガムの映像のすごいところであり、魅力的な映像の本質なのかもしれません。 感じたことの無い感覚を脳に植えつける映像というのは、誰でも作れるものではありません。

Björk – All Is Full Of Love 1999 / Video by Chris Cunningham

 

クリス・カニンガムのミュージックビデオとしての最終作品です。 知名度、完成度共に彼の代表作となりました。

Aphex twin – Come to daddy 1997 / Video by Chris Cunningham

クリス・カニンガム自身の実体験からできたプロモーションビデオです。 若い頃に、森の中でハンマーを持った子供に永遠と追い回されたという経験がベースにあるそうです。

Portishead – Only You / Video by Chris Cunningham

ポーティスヘッドの生暖かい音楽を見事に映像で表現しています。

Aphex Twin – Windowlicker / Video by Chris Cunningham

クリス・カニンガムのデビュー作であるAphex Twinのプロモーションビデオです。 これによりAphex Twin と何度か仕事をすることになり、世界的知名度も手に入れました。

クリス・カニンガムによる日産自動車のCM

車を人体で表現するという斬新な表現は、各国で賛否両論を呼びました。

クリカ・カニンガムによるPlay StationのCM
Mental Wealth by Chris Cunningham (Play Station commercial)

このリアルなCGによる違和感こそが、クリス・カニンガムの真骨頂です。

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