仕事がようやくひと段落し、いよいよ長いこと停滞していた公式サイトや内部プロジェクトを順調に進行中のアルバトロデザイン代表 猪飼です。 外部の仕事も、内部のプロジェクトもそれぞれ違ったやり甲斐があっていいですね。 さて、本日は上海国際博覧会のマスコットキャラクターに似ているとなにかと話題のアメリカのキャラクター、ガンビー君についてです。 そんなガンビーですが、観たことはあるけどいまいちどんなキャラクターかよく分かりません。 新マスコットに似ているかどうかはまた別として、だれもがチラッとは見たことあるけれどよく知らない、ガンビー君について調べてみたいと思います。 

1.ガンビー Gumby 至上初のクレイアニメ主人公

個人的にはずっとアメリカのガム会社の宣伝キャラクターだと思い込んでいたのですが、実はガンビーは本の世界に住む立派な青年です。 ルパンのベンツのような形をした黄色いオープンカーを乗り回し、かわいらしいポニーの友人がいるガンビーですが、元々アメリカのクレイアニメのキャラクターで、1956年アート・クローキー氏によって制作されました。 あのガムのようなキャラクターの形の原因は、クレイアニメとして動かしやすい人型だったからなのです。 体はシンプルでも、顔はしっかり作りこまれていて、表情豊かな気さくな青年です。

1956年に生まれたガンビーは、その歴史が長いだけでなく、 実は史上初のクレイアニメ主人公という歴史的な存在でもあります。 発案者のアート・クローキー氏によるとガンビーは自分の叔父をモチーフにデフォルメしたキャラクターで、あの頭の形や性格は元々存在している人間(叔父さん)をイメージしているのだそうです。

Gumby intro ガンビーのOPアニメーション

 

2.ガンビーから始まったクレイアニメの歴史

粘土をこねて少しずつ動かして写真を撮り、アニメーションを作ったものをクレイアニメといいます。 クレイ、つまり粘土ではなく人形を使ったものはパペットアニメと呼び、さらにどちらにも言えることですが一枚ずつ写真を撮ってアニメにしたものをストップモーション・アニメーションと呼びます。 クレイアニメとして最近有名なのは「チキン・ラン」や「ピングー」があります。 また、パペットアニメとしては「ナイトメア ビフォー クリスマス」などがありますが、どちらもストップモーション・アニメーションです。

世界初のクレイアニメは今回紹介している「ガンビー」で、アート・クローキーによって1956年に制作されたものが最も古いものとされています。 粘土を使ったクレイアニメは当初、子供向けのアニメとして扱われていましたが、1974年の ウィル・ヴィントン監督による「クローズド・マンディ」がアカデミー賞を獲得したことをきっかけに人気が沸騰し、パペットアニメに並ぶストップモーション・アニメーションの花形として注目を受けます。 この時、クレイアニメという名前も全世界に定着したそうです。

クレイアニメは、他のアニメーションであるセルアニメやCG、パペットアニメと比較してかなり手間と技術が必要とされます。 長時間の撮影によってライトや湿度で形が崩れたり、間接や骨格を人形と比べて操作しにくいという 点も難しいといわれる要因です。 しかし、クレイアニメでないと表現できない繊細な表情や質感、解けていく様子などもクレイアニメ特有の表現方法です。

最近では、クレイアニメの独特な雰囲気からアートアニメーションの表現方法としても利用され、チェコのシュルレアリスム・アートアニメーション作家であるヤン・シュバンクマイエルもクレイアニメをアートの表現方法として多用しています。

 1974年の ウィル・ヴィントン監督によるClosed Mondays

1989年ヤン・シュバンクマイエルによるアート・アニメーション Darkness/Light/Darkness

3.アート・クローキーからガンビーが生まれるまで

残念ながら、2010年にて他界してしまった クレイアニメの父、アート・クローキー氏は幼い頃に両親が離婚、父方についたもののその父親も交通事故にて若いうちに死亡してしまいました。 アート・クローキー少年は親戚間を行き来する事となり、辛い思いをしたそうです。 そんな幼少時代の中で最も楽しみだったのが、祖父の運営する農園に遊びに行くことでした。

アート・クローキーの祖父はいつも粘土を使って様々な動物を作り、アート・クローキーを楽しませました。 そのときいつも作っていたガンボというキャラクターこそが、ガンビーの原型であるそうです。

親戚をたらいまわしにされたアート・クローキーですが、その後南カルフォルニア大学へ進学し、ガンボからさらに進化させたガムベシアというアニメーションを学生のうちに実験的に作ります。 1955年の事でした。 昔の楽しい思い出を忘れずに、育て続けたことによって世界で最も有名なキャラクター 「ガンビー」は翌年の1956年に生まれたのでした。

ガンビーは現在もアメリカを代表するキャラクターとして、キャラクターグッズ、クレイアニメーション映画が作られ続けています。

Gumby – Scrooge Loose

Gumby – Santa Witch

Gumby Adventures – The Forbidden Mine Part 1 ガンビー 失われた鉱山①

Gumby Adventures – The Forbidden Mine Part 1 ガンビー 失われた鉱山➁

現在、中国万博のキャラクターが似ていると問題になってはいますが、真相はどちらにせよアート・クローキーの愛息子であるガンビーが世の中に注目されればいいな、と思います。 因みにガンビーの映画は今でも続編が制作されており、2010年にも新しい物語が出るそうです。

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