いつも体調不良の話から始まるアルバトロ代表 猪飼です。 たまには明るい話題からはじめたいのですが、まだまだ不調です。 さて、挨拶とはまるで関係はないのですが、モーショングラフィックという、文字通りグラフィックデザインがアニメーションするというデザインのジャンルがあります。 日本ではまだあまり確立されていないのですが、世界的にはじわじわとグラフィックデザイナーからモーショングラフィックデザイナーへとジョブチェンジをしていくデザイナーが見受けられます。 本日はそんなモーショングラフィック・デザイナーである、ジョニー・ハードスタッフについてです。 

1.モーショングラフィックとは

  グラフィックデザインの歴史は長いです。 紙面上の必要な情報を美しく、整えて見せるというデザイナーという仕事は、いつしかイラストレーションやタイポグラフィ、デジタル・アート、3DCG等と融合されてグラフィック・デザイナーというジャンルを築きました。 やがてグラフィックデザイナーの活動の範囲は紙面だけに留まらず、今ではWeb上やアニメーションとしても成長してきました。

 中でもWebに特化したのがWebデザインとなり、アニメーションに特化したのがモーショングラフィックとなりました。 しかしWebデザインと比べてモーショングラフィックの敷居はかなり高めです。 アニメーションの場合、動画編集の技術だけでなく、イラストレーター、3DCG、音楽等、様々な技術が要求されます。

 

2.ジョニー・ハードスタッフ Johnny Hardstaff

  私は以前モーショングラフィックに没頭して、世界中のモーショングラフィックの映像を観てここがよい、これが斬新だと喜んでいました。 サイヨップや、デザイナーズ・リパブリック、日本のグルーヴィジョン等に並んで、一際異色を放っていたのがジョニー・ハードスタッフの作品でした。

 彼の作品は実に精密なドローイングと3DCGの技術を兼ね合わせていて、ひとつのコンセプトに対してのリサーチの仕方も自分では真似すらできないぐらいに緻密です。 彼のスケッチブックは今まで見たどんなデザイナーのスケッチブックよりも魅力的で、明らかにアイデアに満ち満ちていました。 彼の作品へのこだわりと、クオリティの高さはスケッチブックをみるだけで全て納得できてします。

   

   

3.ジョニーハードスタッフの歴史と作品

 ジョニー・ハードスタッフは英国出身のデザイナーで、ロンドン芸術大学のセントラル・セントマーチンでグラフィックデザインを学びました。 既に人並みはずれたドローイング能力を持っていた彼は、その在学期間中のほとんどを3DCGの技術を習得することに没頭したそうです。

 卒業後、同じ英国のエイリアンやブレードランナーで有名な映画監督リドリー・スコットの熱烈なオファーによりディレクター契約を交わし、プレイステーションのプロモーションフィルムを制作します。 ジョニー・ハードスタッフの独特なグロテスクで、攻撃的な世界感を持つ映像は世界中の賞にノミネートされ、モーショングラフィック・デザイナーとして一躍有名になります。 その後レディオヘッドのトムヨークからプロモーションビデオのオファーを受けるなど、 クリスカニンガムの後継者と呼ばれるまでに至ります。 日本での評価も高く、東芝のCMにも起用されました。

 作風としては日本のグラフィックシーンやアニメ、コミック、プラモデルに非常に興味を持っていて、ジョニー・ハードスタッフの多くの作品から日本的なギミックが感じられます。 また、今までにない独自のグラフィックに対する考え方はいつもどこか攻撃的で、不安定なグロテスクさを映像の裏に常に孕んでいるようにも感じられます。 これだけの大手を相手に仕事をしながらも、アイデアから造形、アニメーションの制作までできるだけ一人で仕事をこなしている点もユニークです。

 最近では、ロンドンで若い学生へ講義も行っているようです。

     

 

4.ジョニーハードスタッフとモーション・グラフィック

 ジョニー・ハードスタッフにとって、モーショングラフィックという手段をとった理由はただ最も自分の世界観を表現しやすい手段だったからだそうです。 確かに、強い独自の世界観を持ち、3DCGやモデリングの技術に特化した彼にはうってつけの技法だったといえます。

 しかし、クリス・カニンガム等のいわゆるミュージック・プロモーション・ビデオの監督とジョニー・ハードスタッフの大きな相違点はやはり、グラフィックがベースにあることだと言えます。 イラストレーター等のベジェラインや、コラージュした素材、そして3DCGがジョニー・ハードスタッフの作品の母体となっています。

 表現技術としてグラフィックの手法をとりながらも、アニメーションという動画のフィールドで主に活躍するという彼のスタンスは、正に真のモーショングラフィック・デザイナーであると言えます。

History of Gaming – Sony Playstation Promotion – Johnny hardstaff

Future of Gaming – Sony Playstation Promotion – Johnny hardstaff

BBC 3chのCM – The Magic f_Number – Johnny hardstaff

RadioheadのPV – I Will & Spinning Plates Backwards – directed by Johnny hardstaff

RadioheadのPV – Push Pulk / Spinning Plates – directed by Johnny hardstaff

 

関連リンク

日本の文化庁メディア芸術祭、アニメ部門やエンターテイメント部門

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