マシュー・バーニー Matthew Barney 「拘束のドローイング」「クレマスター」から観る独自の現代美術感覚




今年の目標はアウトドアライフの充実とデッサンの本格的な習得を掲げつつも、あまり時間を割けていないアルバトロデザイン代表 猪飼です。 今日からかなり暑くなるようで、夏の到来に恐れおののく毎日です。 今年は涼しい長野の森林あたりで釣りでもしながらゆっくりキャンプでもして、スナフキングしたい所です。 さて、本日はビョークのパートナーとしても有名なマシュー・バーニーについてです。 ビョークと共に大の日本好きとしても有名なコンテンポラリーアーティストのマシュー・バニーですが、彼の表現する世界はファッション性も強く、アート界だけでなくファッションや映像界での評価も非常に高いです。 本日はそんな謎の多いアメリカ現代美術の鬼才マシュー・バーニーについてです。

1.マシュー・バーニー

マシュー・バーニーは1967年サンフランシスコに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動しています。 アイスランド出身の歌手、ビョークのパートナーとしても有名で、彼女との間には現在娘が1人います。 大学では医学を学んでいたのですが、その後美術や運動などを学びます。 職歴も多彩で、フットボール選手やその独特な顔立ちや体格からファッション・モデルとしても活躍しました。 1991年にサンフランシスコ近代美術館で初の大々的な個展を開催して以降は、本格的にアーティストとして活動を開始します。

映像作品と、その中に登場する彫刻をメインに作品作りを行うマシュー・バーニーのスタイルはファッションモデルを行っていた時に培った独特なファッションセンスや、映像の撮り方は最初の個展の開始と共に世界的に注目されます。 作品の主要人物である大男は大体マシュー・バーニー本人が演じており、ファッションモデルや運動の経験があるスタイルのよさと、動きのキレが作品の気持ちの悪さを助長しています。

2.マシュー・バーニーの作品

マシュー・バーニーの作品は人体をテーマにしており、全体を通して様々な角度から人間の内側と、外側を表現した作品となっています。 人間の感情の全てに注目し、また人間の外見的特徴にも追求した作品は、義足のアスリートが透明の義足で登場したり、日本の舞踏のように全身白塗りの男がショッキングピンクの服で動き回ったりと、人間の内外をエクストリームに映像化した作りとなっています。 マシュー・バニーにとっては洋服もまた人間の外見の一部であり、狂気をも美しく服や演出で表現しています。

また、マシュー・バーニーの作品の独自性として連作物が多いこともあげられます。 「クレマスター」(Cremaster)シリーズと呼ばれる1994年から始まった5連作作品や、「拘束のドローイング」(The Drawing Restraint )といわれるシリーズも1980年代から続いている連作と言われ、最新の「拘束のドローイング9」は日本の捕鯨船をテーマにしており、世界に先駆けて日本の金沢21世紀美術館で初公開されました。

「クレマスター」シリーズは全5作の連作なのですが、制作した順番もバラバラで、1994年に最初に発表したのは「クレマスター4」でした。 その後、「クレマスター1」を95年に、「クレマスター5」を97年に、「クレマスター2」を99年に発表し、2002年に最終作「クレマスター3」が発表されて無事完結されました。

Cremaster 3 (2002)
クレマスター3のオープニングシーン

Cremaster 3: The Order – Naked City Zorn Music Vid
クレマスター3 ジ・オーダーの1シーン

Cremaster 4 1/4 – Matthew Barney, 1995
クレマスター4 本編 1/4

クレマスター4 本編2/4

クレマスター4 本編3/4

クレマスター4 本編4/4

3.拘束のドローイング9 ビョークとの共演

2005年に発表された「拘束のドローイング9」(MATTHEW BARNEY DRAWING RESTRAINT 9)の面白いところは、いち早く日本の捕鯨船をテーマにした映像作品であるのですが、捕鯨や日本の食文化に関して否定的ではなく、むしろ肯定的であるところも興味深いです。 マシュー・バーニーは日本の捕鯨という、「巨大な生物を捕獲する為の閉鎖された文化のある船」という部分に注目してアート作品を作り上げており、日本の捕鯨文化そのものが後にアメリカから攻撃される対象になっているとは皮肉なものです。

ちなみにこの「拘束のドローイング9」はパートナーであるビョークが音楽を担当し、本編にも大々的に出演したことでも話題になりました。

Björk – Storm (DarkJedi Remix) Drawing & Restraint 9
ビョーク、ストーム Remix映像 in 拘束のドローイング9

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2 Comments

  1. 又お邪魔させていただきます。
    何せ、こちらには私の好きなものが集合してるからです。
    このM.Barneyも初めてNYのグッゲンハイムで展示を見た時は相当な衝撃でした。しかも私は彼の名前を全く知らなかったのです。
    そのあと友人の指摘で彼の名前を思い出し、そこからはまったわけですが、私はこの人が独特な形を作り出すマテリアル、あのシリコン状のもの(あの素材は何でしょう?)をチョイスしたと言うところに惹かれてしまってるんですね。あのマテリアルを使用して生まれる作品はホント斬新だし、それと透明のプラスティックや他の素材とあわせての作品も今まで私には目にしたことないものでした。
    クレマスターも大体見て、拘束のドローイングも見たんですが、
    拘束・・・脚とかを切ってくシーンが私にはちょっと痛かったんですが。2006年のBerlinaleでこの作品が出品されて、本人のトークショーに行ったんですが、あんな大胆な表現をするひととは思えないくらい冷静で落ち着いた印象でした。
    またお邪魔します・・・・。

  2. IKAI

    >anemoneさん
    こんにちわ。ブログを気に入っていただき、本当に嬉しい限りです!
    マシュー・バーニー、クレマスターシリーズも揃ったわけで、是非DVDを出して欲しいですよね!今はまだクレマスター3のカット版(ジ・オーダー)しかでていないみたいですね。
    映像で世界を表現するコンテンポラリー・アーティストとしては、いつもかなり刺激的な世界を表現してくれるアーティストですよね。 あのゼリー状の素材は確かに非常に気になります。特にレースバイクからポロポロ出てくるのが気になりますね。 本人は医学やファッション、体育など様々な専門分野を勉強した、とても教養のある方で、確立された計算の上で映像を作っているのだと聞きました。anemoneさんはトークショーまで行けて、とても羨ましいです。ビョークと子供といる時間はどんな時間なのかも気になりますね。
    今後とも、気に入ってもらえるような記事を書いていけるようにがんばりますので、またちょくちょく観に来てくださいね!

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