ミシェル・ゴンドリー Michel Gondry PVから映画まで世界をリードする映像作家




仕事も最近は一段落つき、再び少しずつ公式サイト制作ができそうなアルバトロデザイン代表 猪飼です。 最近また映像への欲求が強くなり、いつかはモーション・グラフィックや短編映像を作る仕事も手掛けたいと思っています。 が、それよりもなによりも今は公式サイトの制作なのですが・・・さて、本日は現代映像アーティストとして世界をリードするフランス人、ミシェル・ゴンドリーの作品をご紹介します。 プロモーション・ビデオや映画監督等、映像に対するセンスには正に脱帽です。 こんな映像おもしろいな、という映像を次々と打ち出してくる映像監督です。 最近は映画の製作にも力が入っていて、最新作は日本を舞台にした「東京」という映画も製作しています。(トップの画像は映画「東京」より)そんな訳で本日はハイテクなものからアナログなイメージまで、正に魔術師のように映像を操るミシェル・ゴンドリーについてです!

1.ミシェル・ゴンドリー (1963-)

ミシェル・ゴンドリーはフランス パリ郊外のヴェルサイユにて1963年に誕生しました。 卒業後、フランスのロックバンド「Oui Oui」でドラマーとしてバンド活動をしながら、自らのバンドのプロモーション・ビデオを撮影していました。 これはバンドの傍らという程度ではなく、かなりの数を制作し、内容もパペットアニメからパロディ・ビデオ、実験的なもの等かなり多岐にわたります。 その映像作家としての腕が買われ、アメリカのMTVでプロモーションビデオを監督するきっかけを得ます。

そんな中、アート思考のプロモーション・ビデオを発表する事で有名なビョークの「Human Behaviour」を1993年に発表し、非常にアナログなのに曲の世界観をファンタジックに表現した技量に世界が注目します。 ビョーク自身もこのプロモに満足し、ミシェル・ゴンドリーは以降ビョークから多くのプロモーション・ビデオを依頼される事となります。

ビョークの「Human Behaviour」以降、数々の有名ミュージシャンからその独特な映像センスが支持され、カニ・ウェスト、カイリー・ミノーグ、ケミカル・ブラザーズ、ダフト・パンク、チボ・マット、ベック、レディオ・ヘッド、マッシヴ・アタック、ローリングストーンズ等ジャンルも国籍もバラバラのトップ・アーティスト達から幅広く指名され、ビデオを制作しました。

ありとあらゆる大御所ミュージシャンのプロモーション・ビデオを制作しながら、ミシェル・ゴンドリーはCMや映画と、映像を軸に次々と作品を発表します。 2000年に入ると映画制作に打ち込み、次々と映画を製作します。

2.ミシェル・ゴンドリーの映像作品

ミシェル・ゴンドリーの映像は、とても正直です。 シンプルなコンセプトで製作され、人を映像に惹き付けます。「人が興味のもつもの」、そして「見てみたい映像」をよく分かっています。 そのジャンルや、手法は毎回実にバラエティーに富むのですが、ミシェルのアイデアの考え方には1つの面白い方程式があります。

元々フランスのロックバンド「oui oui」でドラムを叩いていたミシェル・ゴンドリーはリズム感にとても敏感で、映像と音楽をリンクさせる手法にリズムを取り入れています。 その結果、ブロックで把握する為方眼紙を映像製作のアイデア出しによく使うといいます。 この方眼紙はいわゆるマス目のようにブロックで仕切られている紙の事ですが、これを使って毎回映像をブロック割りしていく事で音にあわせて構築的に映像を作り出すことができます。

また、このマス目の方眼紙を使った考えの応用としてなのか、レゴのようにブロック自体を使用したアニメーション映像も多いのも特徴です。 ミシェル・ゴンドリーの映像のルーツの1つにはストップモーション・アニメーション(コマ撮り)があり、ストップモーション・アニメーションは時間や動きの管理が非常に大切で、動き1つも時間をしっかりコマ割にして計算しなくてはいけません。

映像、アイデア、技法の天才として扱われるミシェル・ゴンドリーですが、自身のドラマーとしての経験や、自作コマ撮りアニメの経験など、いままでの関わってきたものをしっかり理解し、うまくミックスして表現するという手法こそがミシェル・ゴンドリーの真骨頂なのかもしれません。

現在、映画・映像作品は下記の通りです。(Wikipediaより)

映画監督作品
La Lettre (1998、短篇)
ヒューマン・ネイチュア Human Nature (2001)
エターナル・サンシャイン Eternal Sunshine of the Spotless Mind (2004)
ブロックパーティー Dave Chapell’s Block Party (2004、ドキュメンタリー)
恋愛睡眠のすすめ The Science of Sleep (仏題 La Science des rêves ) (2006)
僕らのミライへ逆回転 Be Kind Rewind (2008)
TOKYO! Tokyo! (2008、オムニバス(「インテリア・デザイン」 Interior Design を担当))

主なミュージック・ビデオ作品
ザ・ヴァインズ Winning Days (2005),Ride (2005)
カニエ・ウエスト Heard ‘Em Say (2005)
カイリー・ミノーグ Come into my world (2002)
ケミカル・ブラザーズLet Forever Be (1999),Star Guitar (2002)
コーディ・チェズナット King of the Game (2006)
シェリル・クロウ A Change Would Do You Good (1997)
シネイド・オコナー Fire On Babylon (1994)
スティーナ・ノルデンスタム Little Star (1994)
ステリオグラム Walkie Talkie Man (2004)
ダフト・パンク Around The World (1997)
チボ・マット Sugar Water (1996)
デヴェンドラ・バンハート A Ribbon (2005)
テレンス・トレント・ダービー She Kissed Me (1995)
トーマス・ドルビー Close But No Cigar (1993)
ドナルド・フェイゲン Snowbound (1993)
ネナ・チェリー Feel It (1997)
ノワール・デジール A l’envers à l’endroit (2002)
ビョーク Human Behaviour (1993),Army Of Me (1995),Isobel (1995),Hyperballad (1996),Jóga (1997),Bachelorette (1997)
フー・ファイターズ Everlong (1997)
ブラック・クロウズ High Head Blues (1995)
ベック Deadweight (1997),Cellphone’s Dead (2006)
ベリンダ・カーライル It’s Too Real (Big Scary Animal) (1993)
ホットハウス・フラワーズ This is it (Your Soul) (1993)
ワイクリフ・ジョン Another One Bites The Dust (1998)
ポリフォニック・スプリー Light & Day (2004)
ポール・マッカートニーdance tonight (2007)
ホワイト・ストライプス Fell in Love With a Girl (2002),Dead Leaves and the Dirty Ground (2002),The Hardest Button to Button (2003),The Denial Twist (2005)
マッシヴ・アタック Protection (1995)
レディオヘッド Knives Out (2001)
レニー・クラヴィッツ Believe (1993)
ザ・ローリング・ストーンズ Like A Rolling Stone (1996),Gimme Shelter (1998)
ロベール Les jupes (1993)

Around The World

Chemical Brothers – Star Guitar
なんといっても痛快な傑作です。 音楽と映像が完全にリンクした、観ていて気持ちの良い映像です。

Kylie Minogue Come Into My World
ついつい次の一周が気になってしまう有名なプロモです。

daft punk – around the world
気持ちの悪さがクセになります。 ダフトパンクの音楽の世界、イメージすらも拡張させた映像といえます。

 

The White Stripes – “Fell in Love with a Girl”
レゴと音楽と実写映像がホワイト・ストライプスの音楽に溶け込みます。

Björk – Hyperballad

ミシェル・ゴンドリーのよく使う2つの映像を重ねる技法の1つですが、音楽かなりマッチしています。
個人的にデジタルとアナログの交差感がとても好きな映像です。

3.ミシェル・ゴンドリーの撮り方

ミシェル・ゴンドリーは前記のとおり、方眼紙による緻密な計算の上で音楽のリズムや小節ように展開をしっかり考えて撮影しています。 しかし、これはパペット・アニメーションとドラマーとしての製作方法で、人物を撮影するときもガッチリと脚本や演出を決めるのかというと、また違うようです。

まず、ミシェル・ゴンドリーは人物撮影、つまり人を撮る時はリハーサルを一切しないそうです。 一度動きや演技を見たらなにか言いたくなるし、言いつけられた役者は言われたとおりにしかできないからだそうです。 まずは、役者の演技を観て、もしかしたらそこに自分の想像よりもおもしろいものがあるかもしれない、という期待感楽しんでいます。

その結果、キャラクターやストーリーは自然に出来るのを待つそうで、自分でガッチリ組むのは苦手だといいます。 こうした手法や、考えはマンガから多くの影響を受けており、映像のフレームや、展開はコミックを参考にしている事が多いそうです。

素材としての撮影はいつも楽しく、フレキシブルに、そして撮り溜めた映像の編集、構成はしっかりと抜かりなく、こうしたメリハリのある製作方法こそがミシェル・ゴンドリーの根底にある創造力なのかもしれません。 そして厳しく規制せず、思いのままにアイデアを表現する姿勢、そして事実表現できてしまっている映像作品にアイデアマンとしての本物の力を感じます。

making of Star Guitar (Chemical Brothers)
Star Guidarのメイキング映像

Kylie Minogue – Come Into My World (making)
カイリー・ミノーグ Come into my worldのメイキング映像

MICHEL GONDRY videoclip : OUI OUI “Les Cailloux”
ミシェル・ゴンドリーがドラムを担当していたバンド、Oui Ouiのミュージック・クリップ映像

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2 Comments

  1. こんにちは、brfでございます。。。
    ダフトパンクのあの、ぶっ飛んだPVはミシェル・ゴンドリーという方の作品だったんですね。。。ダフトファンでありながら、詳しくはしらなかったので、また新たに知識が広がり楽しみ方が増えました。。。。
    ちなみに最近しったのですが、クロマニヨンというJAZZバンドのアニメPVの世界感にも引き込まれました。。。

  2. IKAI

    >brfさん
    こんにちわ。ダフトパンクも松本零士とか独特なプロモーションが多くて面白いですよね。最近だいぶ新曲でてませんねぇ・・・
    クロマニヨンのPV、気になりますね。まだ観たこと無いのでチェックしてみます!
    プロモーションビデオはここ数年で作品として評価が高まっているみたいなので、これからは1つの作品のジャンルとしても楽しみですね!

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