いつかはスカイダイビングやパラグライダー、ウイングスーツ(通称ムササビスーツ)で空を飛びたいアルバトロデザイン代表 猪飼です。 空を飛ぶというのは、魅力的である反面リスクも伴います。 パラグライダーは上昇気流に乗ってしまうと何時間も自分から降りられなくなると聞いて、その気まぐれ性もまた魅力的だなぁとすら思うのですが、本日は31,000 m上空からパラシュートで超音速スカイダイビングに成功したキッティンジャー大尉についてです。 1960年に成層圏からのパラシュート降下を成功させ、その落下速度は時速988kmにまで加速したそうです。 これは乗り物を使わない人間の最高移動速度としても記録を樹立しています。 

1.プロジェクト・エクセルシオとジョゼフ・キッティンジャー大尉

1959年~1960年にかけてキッティンジャー大尉が任されたのはプロジェクト・エクセルシオという気球による成層圏への有人到達計画でした。 これはヘリウムを使用した気球を使って成層圏まで上昇し、上空31.33kmからフリーフォールで地上へ戻るという内容でした。 成層圏まで上昇すると、外気温は-70℃にまで落ちます。 また、落下中は毎分200回を超える回転の中、時速1000kmを超える速さまで加速したそうです。 この実験により、最高気球高度(最高パラシュート降下開始高度)、最長降下時間、乗り物を使わない最高移動速度の3つの記録を樹立しました。 今でもこのキッティンジャーの打ち出した記録は誰にも破られず、キッティンジャー大尉は乗り物を使用せずにマッハ0.9を越えた速度で移動した唯一の人間となっています。

2.プロジェクト・エクセルシオとは

プロジェクト・エクセルシオはアメリカ軍による実験で、目的は気球を使用して成層圏へ到達することにありました。 プロジェクト・ディレクターはジョゼフ・キッティンジャー大尉で、自ら実験の搭乗員も勤めました。 プロジェクト・エクセルシオは3度に渡って行われ、最初の実験は1959年に行われました。 最初の実験では既に上空23,300mまで到達しましたが、落下の際120回/分の回転に襲われ、キッティンジャーは気絶しましたが、自動でパラシュートが開き、運良く命は助かりました。

しかしキッティンジャーはたったの3週間後に2度目の実験を決行しました。 22,800mの高度から落下し、無事地上へ降り立ちました。

3.数々の記録を作った最終プロジェクト、エクセルシオIII

最終プロジェクトである3度目の実験では31,300mへ上昇しました。 31,300m上空への上昇には気球で1時間31分もかかりましたが、降下時間はわずか13分45秒だったそうです。 キッティンジャーの落下位置は成層圏での気球の移動によって元々決められており、無事落下目的地であるニューメキシコ州の砂漠に落下しました。 これまで数多くの実験の中誰も達成できなかった成層圏からのフリーフォールを無事達成したキッティンジャー大尉は米大統領やアメリカ空軍を始めとする様々な機関から勲章やトロフィーを授与され、「初めて宇宙へ行った男」と、世界的に注目を受けました。(実際は成層圏の為、宇宙ではないのですが最も濃いオゾン層を越えた上空31kmの成層圏は見た目はほとんど宇宙でした。)

The Kittinger Jump
キッティンジャーのドキュメント映像

Freefall – Skydive from 31km
何故かドラム・ベースにのせての落下映像

Joe Kittinger parachutes from 102,800 ft
ボーズ・オブ・カナダのプロモーションに使用されたプロジェクト・エクセルシオの映像