久々に実家に帰ったら老けたわね、と母親に言われたアルバトロデザイン代表 猪飼です。 最近映像の記事が多いのですが、事務所初の映像制作の仕事が入り、映像作品について暇がある時はリサーチをしているせいです。 子供の頃の夢は映画監督だったので、つい力が入ってしまうのですが久々の映像制作にかなり準備が遅れています・・・ 以前自主制作で何度か映画を撮ったことがあったのですが、撮影から編集、加工までを通してやるのははじめてで緊張してしまいます。 今回はそんなリサーチの中で特に特徴的なPVを紹介してみたいと思います。 

1.PVと音楽の歴史

もともと音楽と映像はそれぞれ別のものとして発明、進化し、制作されていました。 20世紀初頭に入り、音楽と映像がお互いの歩み寄りにより制作されたのが世界初のプロモーションビデオ Qeenのボヘンミアン・ラプソディー(1975)でした。 イギリスのバンドQeenは音楽だけでなく激しいパフォーマンスとコスチューム等もバンドの特徴としたグループでした。 音楽と映像が融合され、Qeeenは一躍有名になり、このプロモーションは大きな成功をもたらしました。

さらに強い波を起こしたのがアメリカのケーブルテレビの音楽チャンネルMTV(ミュージック・テレビジョン)でした。 テレビで音楽を流すという映像ラジオのような新しいMTVの試みは大ブレイクし、ここで映像の重要性がぐっと強くなりました。 よい映像と音楽のブレンドされた作品は時として音楽だけでなく映像でも話題となり、映像は売上に深く関わっている事が立証されたからです。

結果音楽と映像のクリエイター達は手を結び、新しいジャンルのアートが確立されました。 音楽のプロモーションビデオは短く、莫大な予算が詰まれることもありましたが低予算でも製作できた為、プロモーションビデオの質には格差ができました。 低予算でアイデア勝負をするものや、人気PV監督が生まれ、アーティストが映像監督を指名するなど、PVの地位は一気に高まりました。

2. 最近のプロモーションビデオ事情

プロモーションビデオ界では傑作が多く生まれ、映像を理由にアーティストのビデオ集を買う人も多くなりました。 そこで生まれたのがDirectors Labelでした。 PVを中心に、ショートフィルム作品を映像監督別に集めた作品集を一般的に発売したのです。

これは大ヒットとなり、人気の映像監督の映像を買ってでも高画質で観たいという人が世界中にいたという事実を証明しました。 さらに最近のPV映像監督はPV界で有名になった後に映画監督になる人も増え、映像、音楽、そしてストーリーの加わった映画まで全てが融合されようとしています。

音楽と映像の融合の目標点は、いかに相乗効果を生むかです。 音楽は映像の力を借り、映像は音楽の力を借りて最高のものを作り上げています。 お互いを上長させて作り上げられたPVは音楽も映像も進化を続け、次々と新しい手法が生まれてきています。

では、ある最近のPVからいくつか映像、音楽的に質の高そうなものを選んで紹介してみたいと思います。

Cinnamon Chasers – Luv Deluxe (Music Video)

単調に続くエレクトロビートに強烈なストーリー性をつけ、さらに一人称の撮影方法で刺激的な作品にまとめてあります。 ミュージシャン、映像作家共に無名な状態で低予算で作品を作り、Webにてヒットした作品です。

Spinto Band “Oh Mandy” (high quality)

哀愁の漂う音楽にマッチした映像で密かに知られるSpinto Bandの代表作Oh Mandyです。 CGを使わず、低予算でここまで努力して雰囲気のある映像を作る姿勢は実に共感できます。

The Strokes – 12:51

アンプを独自に改造して電気っぽい音を出すロックバンド、ストロークスの音を映画トロンの世界を再現したような電工装飾で表現しています。 ちなみに映画トロンはトロン・レガシーという名で新しくディズニーから出るみたいです。

Daft Punk – Digital Love HQ

フランスのグループ Daft PunkのPVをアーティストの強いオファーにより、日本の松本零士がフルアルバムのアニメPVを担当しました。 松本零士を説得する為、DaftPunkの二人は松本零士の自宅を直接訪問し、松本零士の作品の昔からの大ファンだと熱弁したそうです。 アニメとPVが深く繋がった歴史的作品としても有名です。

Animal Collective – Peacebone

どんな種類の音楽にも明確に分類しがたい個性的、独創的な音楽で知られるAnimal Collectiveが、UKのメジャーなレーベル、ドミレコードに移った事でできた映像です。 見事にAnimal Collectiveの世界観を映像で表現しています。

Portal – Still Alive typography

AfterEffectsによるグラフィック系PVです。 歌詞を効果的にPVに取り入れることで、モーション・グラフィックだけでPVを作れるというのも現在の最新PVの特徴です。

The Raveonettes – Love In A Trashcan

2003年にデビューしたThe Raveonettesです。 PVの表現は進化するだけでなく、映画や音楽のようにアーカイヴされてきているのがわかります。 2000年代とは思えない古い表現を音楽に合わせてあえて再現するという手法も多く存在しています。

3.最近のPV事情まとめ

PVは確実に進化し、映画ではできないおもいきった新しい手法が試され続けています。 映画監督になりたい、という夢と同じように、PV監督になりたい、と憧れる人も多くなりました。 映画、音楽、アニメ、そしてレトロ・リスペクトといったように様々な要素をクリエイター達が選んで試せるのもPVのよさでもあります。

作ろうとしているPVと全く関係のないものばかりリサーチしてしまいましたが、私もがんばりたいと思います…

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