冒険家 アルフレッド・ホップス夫妻 世界規模のハネムーン旅行




  カールじいさんの空飛ぶ家が人気の今日この頃、最近老夫婦の話に弱い猪飼です。  夜遅くまでの仕事に腰も精神も限界です。 さて、そんなすさんだ気持ちの中、本日は心温まるある冒険家の話をお届けしたいと思います。 アメリカのアルフレッド&ヤコビーネ(英ジャコビン)夫妻の結婚旅行についてです。 日本ではあまり知られていない話なので、海外サイトからがんばって情報をひきだしてみました。

1.Alfred & Jacobine アルフレッド&ヤコビーネ夫妻

  アメリカの人類学者だったアルフレッドと、オランダ人アーティストだったヤコビーネは世界旅行を夢見る普通のアメリカに住むカップルでした。 その後、1955年に北アフリカでの二人の結婚をきっかけに、世界じゅうを旅してから帰る事を本格的に決意します。 ハネムーン先を世界に決め、最後には無事アメリカへ帰ってくると硬く決意をした二人ですが、先立つ金も無くまずはなんとか結婚式を行ったアフリカから旅を開始します。 

2.クラシックカー1935年製  Austin London Taxiとの出会い

 北アフリカにあるカラブランカのある車屋で二人は偶然1935年製のAustin London Taxi (オースティンというロンドンのタクシー)を見つけます。 その車は当時1950年代の彼らにとっても明らかにクラシックな古い車でしたがその形に魅了されたアルフレッドは現地の車屋と身振り手振りで値段の交渉をし、なんとかその場で手に入れます。 タイヤやエンジンの整備を何度も繰り返し、なんとか乗りこなせるようになると、二人はその車でアフリカ大陸最大の砂漠地帯、サハラ砂漠にクラシックカーで入る決意をします。これが彼らとクラシックカーの実に4年間にも及んだ大冒険の始まりでした。

3.Alfred & Jacobine アルフレッド&ヤコビーネ夫妻とダライ・ラマ

  北アフリカから始まった彼らの冒険は実に危険なものでした。 閉鎖された空間の砂漠では何度も死にかけましたが、結婚したての新夫妻は危険に怖気づくこともなくひたすらアフリカ大陸の奥へ奥へと車で走り続けました。 アフリカ大陸の最東地から、アルフレッドは車でアフリカを脱出することを断念し、車を一度インドまで輸送します。
 
 インドからは再びパキスタンまで車を走らせ、アフガニスタンまで行ってからもう一度インドへ戻りました。 インドまでの帰路で夫妻はまだ少年だったダライ・ラマに会います。 国外の文化にとても興味を持っていたダライ・ラマは彼らの自由なハネムーン旅行をとても気に入り、旅の最大限の協力を提供しました。 別れの際にはチベットの子犬を新婦ヤコビーネへプレゼントします。 二人はこの子犬を新しい旅の供に向かえ、大事に育てながらアジアへ車を走らせました。
 
 また、ダライ・ラマが夫妻をバックアップした事により夫妻は徐々に有名になりました。 2人の若い冒険家がクラシック・カー(それも見た目はロンドンのタクシーです)に乗り、子犬を抱えて旅をする姿は世界中の人々の興味を惹きました。次第に、荒々しくも頑なで純粋な旅を続ける彼らのフォロワーも出始めます。

 

4.Alfred & Jacobine アルフレッド&ヤコビーネ夫妻 日本へ

  インドからアジアは、長い旅を続けている二人にはそう遠くない道のりでした。 陸路で車に揺られながら東へ向かい、車内に子犬用のスペースを設け、アジア独特の豪雨や強風を凌ぎました。 2人と1匹と1台の旅はついに極東の地、日本にまで及びます。

 夫妻の旅の最終ポイントとして、世界で最も夫妻に注目していた国は日本だったのかもしれません。 日本人はクラシックカーで旅を続けている白人の夫妻二人をTVショーに招き、旅の話を一から語ってもらいました。 自由な二人の旅の話は、ある意味最もドメスティックな国である日本人には夢物語のようなストーリーでした。 そうして、最後は盛大な送迎の元夫妻はアメリカへ戻り、4年間に及んだハネムーンに幕を閉じました。

 この4年間の間にクラシック・タクシーの走行距離は38,000 kmを記録し、実に249回のタイヤ交換をしたそうです。

 

4.帰国後の夫妻と、アルフレッド・ホップス最後の旅

 4年間のハネムーンは、二人にとって本当に大冒険でした。 何度も九死に一生を得て、はじめは何度も大喧嘩もしたそうです。 しかしそんな長旅も突然終わり、「普通の生活」は二人の間にギャップを生みました。 落ち着いて子供を作り、静かな家庭生活を望んだヤコビーネに対し、アルフレッドはまだまだ車の旅への願望を捨てきれずにいました。  やがて我慢できなくなったアルフレッドはヤコビーネに別れを告げて家を出てしまいます。

 アルフレッドの失踪にひどくショックを受けたヤコビーネは毎日悲しんで暮らしましたが、ある奇跡が起きます。 偶然行ったパーティーでアルフレッドとばったりと遭遇します。 長い旅でいくらでも昔話がはずむ二人は再び仲良くなり、その9ヵ月後には二人の間についに子供ができます。 しかし旅人を続けていたアルフレッドは収入も財産も無く、子供とヤコビーンの生活を支える為に出稼ぎに出てしまい、再び二人の生活は離れ離れになってしまいました。 結局ヤコビーネはアルフレッドと再婚することは無く、アルフレッドとその息子は彼女とは離れて暮らすようになってしまいました。

 すれ違い続きの人生に40年の年月が過ぎ去り、83歳になったアルフレッドはヤコビーネへもう一度プロポーズをしようと決心します。息子とともにサプライズの為、当時のままのロンドンのタクシーをスクラップから作り上げて何日もかけてアメリカを横断してヤコビーネンの元に向かいました。

 結果として、彼女は既に再婚者がいて、30年も前から一緒に暮らしていました。この様子はアメリカのドキュメント映画として撮影もされたようです。
 最終到達点は一緒に居られなかったけれど、二人の過ごした世界最大級のハネムーンの思い出は両者の心の中に今も残されたままです。

 

5.アルフレッド・ホップス夫妻に思うこと

 クラシックカーで世界規模のハネムーン旅行と聞いただけでワクワクし、思わず規格外の量のブログ記事を書いてしまいました。 Into the Wildという、ショーンペン監督の映画を思い出してしまいます。 今回はハッピー・エンドではない話ではありましたが、この夫婦の勇気と実行力に深く尊敬します。

 そして、ヤコビーナの夫の複雑な気持ちも理解したいです。









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4 Comments

  1. 京きものいぐち

    はじめまして。

    本当に最近ですが、御社のブログをはじめて見させていただきました。
    以来、とても興味深く拝見しております。

    まだすべて読むことはできていませんが、
    順次読みたいと思っています。

  2. お返事、遅くなり大変申し訳ございません。
    ブログをご覧になっていただき、感想まで頂き大変有難うございます。

    まだまだ未熟ではございますが、これからも極力毎日更新でがんばりますので
    今後も末永く覗きにきてくださいね!

    アルバトロデザイン 一同

  3. はじめまして。森の家を探して、辿り着きました。
    世の中はとても面白い。
    私は昨昨年、ドイツ人の彼に会い、3ヶ月後、パリで暮らし、半年後、バイクで1ヶ月スペインを走り、彼の夢はまさに世界中を走ることでした。私も一緒に行く決意をしていました。
    でも先立つものがなく、私は自分の家が欲しくなり、なんか、女ってやっぱり安定したいものなのかなと記事を読んで感じました。
    彼は写真家でもあるので、世界中行きます。今はロシアにいます。早く会いたいし、いつかアルフレッド・ホップス夫妻のように世界一周出来たらと、諦めきれない気持ちです(^^)
    発見と気づきをありがとうございました。

  4. IKAI

    >さとみさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。国際的で、素敵な出会いですね。私は世界に出ると、出るまではどうしても見えなかったものが色々と見えてきて、価値観をどんどん変えていく事ができる所が好きです。周りでどんどん世界一周に出かけている新婚夫婦がいる中、羨ましさと憧れで書いたのがこの記事でした。距離があっても、近くても、境遇が違くても心を通わせられる人と旅に出れるのはお互いにとって素晴らしい事です。いつかホップス夫妻のように、世界中の素晴らしい光景を観に行けるといいですね!

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