ジョギングと朝シャワーで今日も気分爽快なアルバトロデザイン代表 猪飼です。 下っ腹が若干気になる年頃ではありますが、健康生活でなんとか乗り越えようと言う腹です。 そんな健康生活の一環で、朝近所のスーパー・サミットにジョギングついでに食材を買いに行ったところ、インターネット販売始めました! というキャンペーンが大々的に行われていました。 いつもは鮮魚売り場にいるはずの温厚なアンクル・フィッシュでさえ、ネットで買い物したら、お届けしますよ! とIT勧誘をしてきたのが印象的でした。 これは便利だ、とチラシをもらったのですが、よく考えてみたらそんなことをしたらますます運動不足になってしまうので丁重にお断りしました。 本日は本格的に健康生活を貫く、アメリカのアーミッシュについてです。 電気も電話も自動車も基本的に使用しない彼らの生活はとても興味深いです。 

1.アーミッシュ Amish とは

アーミッシュはカトリックの教えに従い、近代技術を抑制したライフスタイルを現代も貫いている人々です。 オンタリオ州を中心に現在20万人以上のアーミッシュがアメリカに在住しており、今も年々増加傾向にあると言われています。 現在は20州にも渡って広範囲で生活しているアーミッシュの人々ですが、様々なコミュニティに分かれており、それぞれ細かいルールや服装が異なります。 しかし、共通するルールは現代文明から距離を置く、という事です。 まずはアーミッシュ全体に大体共通している、興味深い生活のルールをご紹介します。

・ 自動車を運転したり、所有してはならない (基本は馬車か歩きですが、乗せて貰えるときはOK)
・ 基本的に、ゴムタイヤは使ってはいけない (他の材質はコミュニティによって異なる)
・ 電気を家にひいてはならない (プロパンガスや電池はOK)
・ 電話を家にひいてはならない (公衆電話はOK、携帯電話は要相談)
・ 派手な服を着てはならない (特に成人はコミュニティで定めた、決められた色の服を着ます)
・ 動かさない固定型のエンジンは使ってもよい (圧縮空気による自家発電はOK)
・ どうしても電気を使うときは、風力か水力発電のものを使う
・ 他にも、喧嘩、読書、離婚、飲酒など禁止されている行為があります。

なんだか、ゆるいルールだなぁ、と思うかもしれませんがこれには深い訳があります。 アーミッシュは元々ヨーロッパからの移民で、ドイツ・スイス系の種族です。 元々祖国ではアナバプティスト(再洗礼派)の流れを汲み、カトリック教会等から迫害を受けてドイツからアメリカに移り住んだ人たちです。 アメリカに移民した際に、高度成長するアメリカ経済を見て、聖書のある言葉「質素に暮らすべきである」という教えを守ることを便利な暮らしよりも優先したのが根本にあります。

こうしたルールの根底にある考えは、キリスト教の新約聖書の教えなのですが、アーミッシュの創立者であるヤコブ・アマン(Jacob Amman)(彼の名前アマンを取って、アーミッシュと呼ばれています)の考えも強く引き継がれている為、基本的にエコです。 消費し、ゴミになる物や、公害的なものも使用しません。 ヤコブ・アマンの考えにより自然との共存も考慮されていると考えられます。

 

 

 

 

2.近代化していくアーミッシュ

厳しい訓戒というイメージのつきまとうアーミッシュですが、彼らは隔離された生活がしたいのではないという点がキーになります。 世界の文明の中からテクノロジーを吟味し、よい物は取り入れています。 例えば、電気は取り入れなくても電池は取り入れています。 これは夜間火での作業は危険だからという考えや、火を燃やしたときの環境的リスクや資源の事が考えられた結果でもあります。 また、電球よりも経済的でエコであるLED等も取り入れているそうです。

また、公道を馬車で走るのでウィンカーや反射板等の法律で義務付けられたものは馬車に装備しています。ライト等のバッテリーは風力、水力で発電されたものを蓄電して充電しています。

こうしたアーミッシュの根底にある考えを理解していく事で、彼らが何故上記のような訓戒を作っていったのか、そしてどう現代社会と順応していこうとしているのかが理解できると思います。

 

 

 

 

 

3.アーミッシュの服装

アーミッシュの生活の上で、一番目につくのは彼らの服装かもしれません。 コミュニティによって、まず服の色が決まっていて、その色以外の服装は白か黒しか着ません。 また、アクセサリー等も多くは禁止されています。 基本的に正装は黒で、馬車なども黒が基本です。 女性の生活着はコミュニティカラーで決められた形の服で常に清楚にしていなくてはなりません。 料理をするときや外出の際はカバーリングと呼ばれる丸い帽子をかぶります。 男性の服装もシンプルで、決められスラックスをはきます。 また、変わったところは男性は大人からちいさな子供までサスペンダーをほぼ確実に装着しています。

また、多くのアーミッシュはリラックスする時は素足を好み、作業場や、自宅などでは素足でいることも多いそうです。

全体を通して、現代とは思えないほどクラシックなファッションです。 これらの服は大切に着て、古くなったものは集められてアーミッシュキルトというキルティングに使用されます。 清潔なアーミッシュが長年着古した服で手作りで綴られる幾何学模様のアーミッシュキルトは実に味わい深く、1枚1枚大切にされるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.アーミッシュまとめ

アーミッシュの生活はまだまだ興味深いところが多く、写真を撮ってはいけないというコミュニティや、子供を一度現代社会に出すというコミュニティもあります。 また、アメリカでは時々ドキュメント番組が組まれ、アーミッシュの子供が都会に出たり、逆にアーミッシュの家に体験生活をしたりと、アーミッシュ自体は誰でも知っている存在となっています。 実際のアーミッシュの生活は、圧縮空気とガスによる電気製品の発達でかなり近代的なものであり、独特な服装でなければ区別がつかないほど快適な生活をしているそうです。

しかし、比較的閉鎖的な生活ではあるので、生活様式の違いから迫害を受けたり、犯罪の容疑をかけられたりと問題も多いそうです。 また、馬車による交通事故も多いようです。またアメリカでは、 アーミッシュの子供が通う学校が襲われ、子供が撃たれるという事件も起きています。

アーミッシュの原型にはメノナイトというキリスト教派が存在し、こちらはアーミッシュに比べてかなり規則が緩くなっている為、アーミッシュのコミュニティを出た人はほとんどメノナイトになるそうです。 メノナイトは自動車の所有も許可されており、アメリカのみならずヨーロッパやアフリカ等、世界中に150万人は存在していると言われています。

世界にはこうしたコミュニティ単位で独自の文化を築き、現代社会と共存している人達がたくさんいます。 そこには独自の文化があり、芸術があり、考えがあります。 アーミッシュも、個性を持たず、ただ質素に、集団のために生活をするという徹底した理念があります。 同じ現代でも、独自のユニークな文化を持った人達はデザインや、考え方、ファッション等とても興味深いです。

The Amish
アーミッシュ紹介ビデオです(英語)

Amish Buggy in traffic
公道を通行するアーミッシュの馬車

Amish Religion Palm Sunday
現代のアーミッシュの生活(隠し撮り)

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