ブライス人形 Blythe 70年代から生まれ変わった新しいファッションドールの世界




  雨が続く中、座りすぎで腰の痛いアルバトロデザイン代表 猪飼です。 はやく仕事を終わらせて温泉にでも行きたい気持ちでいっぱいの中、本日は1972年に初めて発売されたファッションドール、ブライス人形について書きたいと思います。 ブライスは元々アメリカのケナー社から発売された初代ブライスをベースに、ユーザーによるカスタムや、日本のタカラによるネオブライス、小型のプチブライスの生産等、進化を続けているドールで、最大の魅力は無限に存在する服の着せ替えを代表としたカスタム性にあります。 日本のクリエイティブ・エージェンシー、CWCがオシャレなファッションドールとしてパルコのキャンペーン広告に大々的にモデルとして起用した事で2000年に日本を中心に世界的なブライス再ブームが起きました。 その為今でもブライス人形といえば、パルコのポスターを思い浮かべる人も多いかもしれません。

1.ブライスの歴史 ヴィンテージブライスの誕生

全ての始まりは1972年にアメリカのケナー社から着せ替え人形として発売された初代ブライス(通称ヴィンテージブライス)にあります。 ドール・デザイナーであるアリソン・キャッツマンが子供向けの着せ替え人形として最初のブライスをデザインし、ケナー社が生産しました。 着せ替え人形として、ウィッグや着替えの服等様々なグッズも同時に発売されましたが、なかなかヒットせずにたった1年で生産中止となってしまいました。

1972年の発売当初から顔も現在のブライスの原型は完成されており、4種類の髪色のブライスが発売されました。 全て後頭部から伸びる紐を引くと目の色が4色に変化するなどのギミックを搭載していましたが、 今までの人形とは一線を画す大きな顔とリアルな顔つきに当時のアメリカの子供達は不気味がり、「目が怖い」「頭が大きくて気持ち悪い」「夢に出てきそう」という悪い評判が生産中止の引き金となってしまったそうです。

ヴィンテージブライスは現在存在している数も限定されている上、最近のドールとは違ったチープな樹脂の素材感が古い人形のテイストを醸し出し、ブライス人形の中でも高額で取引されている人気ドールとなっています。

 The World of Beautiful Blythe
当時のブライス人形のCMです

2.ニューヨークの写真家ジーナ・ガランによる写真集 This is Blythe の発売

1972年の発売、そして翌年の生産中止以来ブライスは長い沈黙の時代に入ります。 70年代初期の昔の人形として、一部のドールコレクターには人気があったものの特別な存在ではありませんでした。

そんな中、ニューヨーク生まれの女性写真家であるジーナ・ガラン(Gina Garan)は友達のドールコレクターからふとしたきっかけでブライス人形を見せてもらいます。 ジーナはブライス人形の独特な顔つきに一目ぼれし、自身の写真集のモデルにする事を決め、ブライスのスタイリングやシナリオも自分で考え、写真を撮り溜めました。 その写真集は 「This is Blythe」としてクロニクルブックスで発売され、アメリカで人気を呼びました。 ドールコレクターを中心に一躍人気となったジーナの写真集 「This is Blythe」はその後日本でも発売され、完売する程の爆発的な人気となりました。

ジーナの写真はブライスの魅力を最大限に引き出した作品となっており、世界中でブライス人形への認識を変えました。 ただの着せ替え人形だけでなく、独特な雰囲気をもったファッションドールとしてブライスが生まれ変わった瞬間でした。 日本でも写真展が開かれ、人気を呼びました。

ジーナ・ガランの写真集はその後も数冊販売され、今もブライス人気を引っ張っています。 またジーナの写真集によってドールコレクターのみならず、写真好きな女性達もブライスを通してドールコレクター達と合流し、自分のブライスを演出して撮影するという新しいファッションドールの楽しみ方としても発達しています。 カスタムブライスの概念も、ジーナの写真が貢献した部分は大きいようです。

3.CMCとブライスの切っても切り離せない関係

デザイナーや写真家、イラストレーター等を多数抱え、多くの広告作品をプロデュースしているクリエイティブウージェンシーCMCは2000年に発表されたジーナ・ガランの写真集を通してブライスのファッション性を再認識し、同年2000年の末にパルコの広告で大々的にモデルとして起用することを決めました。

このクリエイティブ・エンジェンシーCMCの代表でありプロデューサーであるジュンコ・ウォングはジーナのの写真を通してブライスの魅力に気づき、ブライス復活への活動が始まりました。 2000年、PARCOのクラスマスCMでのブライスの起用は日本中に本格的なブライスブームを呼びました。 PARCOの広告起用でブライス=ファッショナブルという概念が定着したことにより、1972年とは違ったブライスの様々なムーブメントが起こります。

ブライス人形自体の人気が高まるのを受けてCMCは玩具会社のタカラと共に当時のブライスを復刻させたネオブライスをプロデュースし、本格的なブライス・ブームが始まります。 また新たに小型のプチブライスも発売し、2005年にはフィギュアバージョンのブライスベルも発売しました。 現在も多くのバリエーションのブライスが定期的に発売され続け、髪型や洋服の違った60種を超えるネオブライス、100種を超えるプチブライスが発売されています。

こうした日本のフライスブームを受けて本国アメリカでも人気が高まり、米国でもアシュトンドレイク社から復刻版が発売され、世界的な人気となりました。 日本だけでなく世界各地でブライスをモデルにしたCMも制作されました。

Have a Blythe Xmas!
日本のブライスブームを作ったCMCによるPARCOのCM

Blythe babaria
ブライスを起用したフランスの化粧品のCM

4.ファッションドールとしてのブライス

ブライスグッズとしてはファッションドールとして、現在様々なファッションブランドからブライス用の服が販売されています。 また、カスタムをして顔や目、髪型を変えたオリジナルブライスも人気が出ています。

様々なブランドから発売されている服を着せたり、自分でカスタムをしたり、モデルとして撮影も楽しめるブライスはファッション・ツール、写真の被写体としても活躍しています。

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2 Comments

  1. morimori

    初めまして、いつも楽しくブログ見させて頂いています。このブログではいつも魅力的な話題を取り上げられていて見ているだけでワクワクします。
    特に今回のブライスの記事は僕自身ファッション、ブライス、メイクに興味があるのでコメントさせて頂きました。
    発売当初は受け入れられなかったという点は新しいカタチの辿る道の様な印象を受けました。しかし、時代の流れとともに受け入れられ今では非常に人気の高いキャラクターとなり様々なメディアで見掛けるようになりました。嬉しいですよね。
    このブライスにはまだまだ多くの魅力があり、今後多くの人を魅了していってもらいたいですね。
    長くなりましたが、これで失礼います。

  2. IKAI

    >morimoriさん
    書き込みされていたのを暫く気づきませんでした。返信遅れてすみません!
    ブライスは顔に独特な雰囲気があり、その強い印象が発売当時はまだ不気味がられていたようですね。
    現代アートのように、時代が強いオリジナリティを求めることでこうした過去の強い個性をもったドールが再認識されるようになってきたのかもしれませんね。

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