チェコ・マリオネット 不思議な魅力を放つチェコの操り人形




 以前チェコの首都プラハを訪れたときは、お土産のマリオネットを探して喧嘩までしかけたアルバトロデザイン代表 猪飼です。 チェコといえば、実はパペットアニメやマリオネット劇がとても有名です。 他国には見られない独特な木彫りの質感が味わい深く、チェコ・マリオネットはチェコを代表する工芸品の1つと言えます。 おみやげ物やにはきまって数百と言う色とりどりの操り人形が並び、目移りしてしまいます。 大体人形1体の値段は安くて2千円程度なのですが、大きいものや細かい細工がされた本格的なものになると何十万もします。 安い人形も高い人形もどれも全て手作りの為、お店によって顔や色が違ったり、彫り方もまちまちでおもしろいです。 本日はそんなチェコ・マリオネットの世界をご紹介いたします。 

 1.民主主義となったチェコ共和国と伝統工芸

チェコはヨーロッパの心臓と言われるように、東欧の内陸部ど真ん中に存在する国です。 チェコ・スロバキアとして1国でしたが、1993年にお互い独立し、チェコとスロバキアに分離しました。 これにより民主主義となりましたが、長かった社会主義時代の色が強く残る国としても興味深いです。 首都であるプラハの町はギラギラとした眠らない町で、美しい旧市街、繁華街プラハはどちらもチェコの人気スポットです。

しかし一歩街を離れると薄暗い、灰色の大きなアパートが乱立し、街灯も少ない為グレー1色の街並が続きます。 破棄された社会主義時代の公的機関(駅などの建物)もそのまま放置され、道を一歩間違えると廃墟のような世界が町中に残されているのもプラハ特有です。

 

 

2.チェコ・マリオネットの歴史

チェコ人にとって、マリオネット(操り人形)はオモチャではなく、文化だといいます。 チェコの町には何件も人形劇場やマリオネット博物館、マリオネット専門店があります。 ではなぜチェコでマリオネットがこうも盛んになったのでしょうか。

戦争に何度も巻き込まれてきたヨーロッパの心臓であるチェコは、1526年から第一次世界大戦においてドイツによるゲルマン化が進められました。 その為公でチェコ語を話すことは禁止され、チェコ人のアイデンティティは失われかけました。 しかし、独特の言い回しを主体とする人形劇だけはチェコの文化としてチェコ語での上映が許可されていました。 当時のチェコ人は大人も子供も人形劇場に出向き、唯一胸を張ってチェコ語で会話ができる劇場をアイデンティティの確認できる場所として重宝していました。

やがてチェコ人の大人が集まるマリオネット劇場はチェコ語で上映することをいい事に、戦争や他国の批判、社会主義への不満を政府に分からないよう皮肉交じりに人形劇で上映していくようになります。 こうしてマリオネット劇は大人の情報交換場となり、それに伴って演技する人形自体も大人向けの繊細で緻密なものへと変わっていきます。

また、はっきりした表現では主張できない内容をオブラートにつつんで隠喩にするというシュル・レアリスム的な傾向から大人向けのパペットとして骸骨やディアブロ(赤い顔の悪魔)といった、おどろおどろしいモンスターも多いのもチェコ・パペットの特徴です。 当時の政治家にどことなく似せた悪魔のマリオネットなど、実に様々なマリオネットが制作されてきました。

プラハの広場にある時計台では、今でもチェコ・パペットが細かい動きで動き回るというカラクリがあり、観光客の人気を博しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

3.チェコ・マリオネットの今

チェコでは今でもお祭りやイベントでは人形劇が上演される事が多くあります。 これはマリオネットを国民的文化として国をあげてサポートしているという背景もあります。 プラハには2年制の国立のマリオネット作家養成学校が存在し、小学校には年に一度はマリオネット人形劇団が巡回して、マリオネット伝承活動を活発に行っています。

また、チェコ国立マリオネット芸術協会は現在もマリオネットの普及に貢献するべくチェコ・マリオネットのワークショップを支援しています。 芸術作品としてマリオネットを評価し、毎年チェコ中のワークショップから新作のマリオネットが発表されています。

また、チェコに無数存在するマリオネットのワークショップは完全オーダー品のマリオネットも受注しています。 記念品や、結婚式の贈り物などに本人に顔、体格そっくりのマリオネットを注文する人も多いそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

4.チェコ・マリオネットまとめ

そんな訳で私もシュル・レアリスムの巨匠シュバンクマイエルのアトリエを訪れる為プラハに行った際、ガイコツのマリオネットを購入してきました。 白いローブを着ているのですが、操作は実に簡単で誰にでも簡単に走らせたり、座らせたり、手を動かしたり出来ます。 簡単に操作できるというのも、チェコ・マリオネットの魅力の1つだと思います。

しかし大きいものは90cmぐらいのものも存在し、複雑になるとそれなりの体力と技術が必要になるようです。 チェコ独特の木彫りの顔の感覚や、質感、そしてなによりも存在感のあるチェコ・マリオネット。 一家に一台、息抜き用に如何でしょうか。

ArTiSta Di StraDa a DuBLiNo
路上マリオネット使い

ArTiSta Di StraDa a DuBLiNo
路上マリオネット使い2

PRAGUE PUPPETS DO DON GIOVANNI
プラハのマリオネット劇場

Prague In Your Pocket – Astronomical Clock
プラハの天文時計の様子

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2 Comments

  1. なつみかん

    はじめまして。
    チェコのマリオネットについて調べていたら
    素敵な木彫りマリオネットの写真に目が止まりました。
    差支えなければ、写真の木彫りマリオネットはどこの工房のものか
    教えていただけますでしょうか。
    よろしくお願いします。

  2. IKAI

    >なつみかんさん
    書き込みありがとうございます。
    写真は様々な工房のものからピックアップしてきたものなので、どれがどこのものかはもう忘れてしまいました。
    調べなおしてみたところ、下記のサイトにもチェコのマリオネットが販売されているようなので、一応報告しておきますね。
    あまりお力に添えず申し訳ございません。
    http://www.czechmarionettes.com/

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