毎日寒い日々が続きますね。 風邪をひかないようにひたすら厚着をして忍びつつ、久々にブログに戻れた猪飼です。 相変わらず年末と全く関係ありませんが、インダストリアル系家具について書こうと思います。 工業的な目的で作られた家具や小物を集めるコレクターが日本でも静かなブームを呼びはじめて何年か経ちました。 古い工業系の家具や小物を集めるインダストリアル系コレクターは昔から存在しましたが、ここ数年の雑誌 Ku:nel (クウネル) の人気や、ロハス志向のブーム等により派生したすこしクセの強いアイテムを好むコレクター等多くの固定ファンをつくりました。

1.インダストリアル家具というジャンル
  インダストリアル系家具といっても、幅は様々です。 基本的には地域と年代によって細かく分かれていきます。例えば、40年代、50年代、60年代、70年代、80年代以降という年代で緩やかに括られる一方、地域別に日本、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア等地域でも分けられます。 特に北欧やアメリカのミッドセンチュリー等時代と地域によっては強い家具やプロダクトのストリームが存在します。 インダストリアル家具は工業系の家具の為時代の影響は強くは受けませんが、それでも薄っすらと形やフォルムに影響は出ます。
  特に日本で人気の時代と地域は、50年代~60年代のアメリカやヨーロッパの工業家具です。黒っぽい鉄をふんだんに使用した重厚感のあるフォルムと、味のある木材のコンビネーションが人気のようです。

 

2.日本のインダストリアル
 日本にも昔から重工場は多数存在し、勿論インダストリアル系家具は多数存在します。 外国のものに比べて、きまって日本語の会社の社名やロゴ、年代が入ります。 その社名や年代がまたコレクターに人気でもあります。 しかしそのほぼ全てが日本語で書かれる事が多い為、外国のコレクターには年代を判別しづらく、とっつきにくい理由でもあるそうです。  また、日本の会社は小さな小物をオリジナルで製作し取引先へ配るという傾向が昔からあり(今のタオルのような感覚でしょうか)、温度計や時計等オフィスで使える小物が60年代以降続々と生産されました。 社名入りの小さな小物が多く存在するのも日本のインダストリアル系コレクションの特徴でもあります。 


3.インダストリアル家具の貴重性

 インダストリアル家具が根本的にアンティーク家具と違うのは、家具そのものが工業(工場や工場)の為に作られている為取り付けのものが多く、さらに多くの場合工場の閉鎖や改装に伴って処分されてしまいます。 また工場は技術の進歩と共に最新のものに取り替えられる為、場所をとる古い施設は売り手が無い場合は破棄されることが多い為必然的に希少なものとなります。 また、大掛かりな解体が必要な為、分断された机や大型ライトが存在し、最近ではそういったものをしっかりと補修して販売する業者が多くなりましたが、昔はそのままライトシェードだけ販売したり、バラして木材として販売されていました。 最近のインダストリアル家具の再認識により加速度的な破棄は減りましたが、それでも絶対数は多くなく、値段も高くなります。 

 
4.インダストリアル家具の今と今後
 インダストリアル家具はその重厚さ、素朴さ、無骨さが伴う独特な雰囲気の家具として再認識され、アメリカやヨーロッパ、日本でもこうした古い家具を工場や廃墟からサルベージし、保管、補修、販売をする業者が増えてきました。 これは市場を活性化させると共にアンティーク家具のジャンルの1つとして認められた事でもあり、次第にシェアを増やし、インダストリアル家具を扱う家具屋の絶対数も増え続けています。
 最近の傾向としては、海外からコンテナで輸入し、補修、清掃後、年代と国、状態、デザインによって高価な額で販売されています。

 こうしたインダストリアル家具の静かなるブームを受け、今では古いインダストリアル家具を模倣した家具を制作する家具屋や、工業家具のパーツを分解して再構築することで新しい家具を作り出すアーテイストや家具デザイナーもでてきています。

 

インダストリアル家具の特徴は、デザインより実用を、装飾よりも丈夫さを重視した手作りの家具です。 また、傷や錆が表す何年間も何十人、何百人という人に毎日使われてきたことによる歴史だと思います。 こうしたものが「味がある」、として今人気がでるのはもしかすると現在のプロダクトとまったく逆なせいかもしれないな、と私は思います。 デザイナーによりきっちりデザインされ、ロボットによって大量生産し、運びやすく軽量化されたある意味現在最も「実用性」のある家具と、インダストリアルのように全く逆のベクトルで「実用性」を追求された家具。 どちらもよしとして共存する現代という時代になんだかわくわくしてしまいます。