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ベリーが来航の際に将軍家にミシンをプレゼントしたといわれているほど、日本での歴史も古いミシン。現代ミシンを開発したアメリカの老舗ミシン会社、シンガー社の足踏みミシンが本日うちのデザイン事務所に届きました! これを勝手に記念して、本日はシンガーミシンの歴史を追いたいと思います!

1.特許紛争が続いたミシンの歴史
  1589年、イギリスでウイリアム・リーが編み機を発明したのを皮切りに、イギリス、フランスでミシンの原型となる自動編み機が開発されます。その後舞台はアメリカに移り、ウォルター・ハントが近代ミシンのベースとなる機会を開発しますが、特許をとらなかった為特許紛争が勃発。最終的にハントの発明のすぐ後に同じアメリカのエリアス・ハウによって特許がとられました。その後1850年、アイザック・メリット・シンガーが修理に来たミシンを研究、改良し、現在とほぼ同じ構造のミシンを発明します。翌年1851年に無事特許をとり、I. M. シンガー社(のちのシンガー社)を立ち上げました。その後日本を含む世界中の企業からミシンは製造され、 手押しミシンから足踏みミシンへと変貌を続け、最終的には電子ミシンまで進化しました。電動化が進み足踏みミシンは影を潜めましたが、NGOにより回収され電気供給のない国へと譲渡され、世界中の途上国は現在でも現役として活躍しています。

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2.ミシン製造会社 シンガー
  シンガー社はミシン専門の製造会社として1851年にI.M. Singer & Co. として創業を開始しました。その後改名が続き1865年に Singer Manufacturing Company に改称、1963年に The Singer Company に改称し、現在のシンガー社ができました。シンガー社は戦時中になるとアメリカ政府と兵器の製造、一部開発の契約を結び拳銃や爆撃照準器の製造も行いました。その後戦争が終わると多角化を目指し、計算機等の精密機器も開発し、これが後の精密電子ミシン製造のきっかけともなります。 元々ニューヨークから発足し、製造も全てニューヨークで行っていましたが、現在は本拠地をナッシュビル近郊のラ・バーグへと移しました。

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3.ミシンの種類
  ミシンはいくつかの種類に分類されます。 家庭用ミシン、職業用ミシン、工業用ミシンです。 家庭用ミシンは比較的弱い力での縫いですが、基本的には多目的な縫い方ができます。例えばジグザグ縫いや、最近のものだとネーム刺繍等、時代にうまく沿った形で低価格なミシンが開発されています。 職業用ミシンになると家庭用よりも格段と強い力の縫いが可能となります。ジーンズや革製品など(革は革専用のミシンもあります)、厚手のものをしっかりと縫うことができます。 工業用ミシンは目的にもよりますが、かなり強力な稼働部を持っており、変わりにオプション機能は ほとんどついていません。 基本的に家庭用ミシンに比べてかなり高速かつ強力な為、熟練の知識と技術を必要とします。
 ミシンは元々専門職用につくられた機械なので、ミシンの歴史は工業ミシンの歴史でもあります。シンガー社は工業ミシンのパイオニアとして、「手では縫えない物を高速で縫う」という単純な理念と共に強力なミシンを次々と開発しました。

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4.日本においてのミシン
  そもそもミシンという名前は英語のSewing Machine (ソーイング・マシン)から、日本名にされた時に縫製ミシンという名前がつき(当時はマシンをミシンと日本人は発音した為)、その後縫製が省かれてミシンとなったといいます。 ペリー来航や、ジョン万次郎らによってもたらされたミシンは、戦前から日本中に浸透しました。 しかしまだまだ高速で洋服を作る事のできるミシンは高級品であった為、戦時中は軍服以外の使用が禁止されるなど、なかなか一般家庭には手の届かない代物でした。
 戦後、日本経済も裕福になりつつあった頃ついにミシンは一般家庭にもじわじわと浸透しはじめます。 当時は老若問わず、女性の趣味の一つの花形として手芸や裁縫がありました。 そこで、必死にコツコツとお金をためて、ミシンを買うというのが多くの女性の夢であった時代もあったそうです。 ついに手に入れたミシンを大切に、自分の娘が使えるように大事に使用されてきました。 今でこそ家庭用ミシンが日本中に溢れ、高級なものというイメージはあまりありませんが、少し前までは何十年も使う大切なものとして丁寧に親から娘へと引き継がれていたのです。

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5.弊社アルバトロデザインに来た足踏みシンガーミシン
  最後に、本日頂いたシンガーミシンについてです。こちらは近所のたまに通っていた洋裁屋さんの閉店に伴い、かつてから憧れていた足踏みミシンを譲っていただいたものです。グラフィックがメインのデザイン事務所ですが、社員により雑巾を作ったり、簡単な服や布製品の修理に使用させていただきます。 直接グラフィックには関係のない物ではありますが、ミシンの調子やパーツを見ると、長い間とても大切に使われてきたものだと思います。 この場を借りて、深く感謝を致します。 お忙しい中こちらの都合に合わせていただき、本当に、ありがとうございました。

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アルバトロデザイン 猪飼 俊介

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